近年、海外向け製品の需要拡大に伴い、日本国内での生産能力の強化が急務となっています。
当社が支援した事例では、これまでの日勤のみの勤務体制から約半年後には2交代制への移行が必要となり、現有の300名から130名を上乗せして430名へと急速に人員を増やす必要が生じました。

現状分析を行ったところ、主に以下の課題が明らかになりました。

①採用数の不足
・前年度の採用実績は月平均15名であり、現在のペースでは残り6か月で130名の増員は困難 ・在籍スタッフのほとんどがブラジル人で、国内地元採用のみのルートでは人員確保が難しい状況
②交代勤務への切り替え希望者の不足
・これまで日勤のみで採用を行ってきたため、交代勤務への切り替えにスタッフの反発が強く、希望者は5名のみ ・全体の38%のスタッフが引き続き日勤のみを希望
③増員に伴う寮の確保
・増員に伴い、90件以上の新規寮の確保が必要
④スタッフの53%が働きにくさを感じていること
・在籍スタッフ数に対して現場管理者が不足しており、スタッフの半数以上がアンケートで「働きにくい」と回答するなど、潜在的な退職リスクを抱えている状況

これらの課題に対し、以下の解決策を実施しました。

①日系ブラジル人採用ルートの活用
・他の顧客の減産に伴い、待機していた入国準備が済んでいる多数の日系ブラジル人を当該案件の採用へ迅速に切り替え
②大規模採用に対応できる入居物件の整備
・顧客の送迎費用負担を軽減するため、現場から1ｋｍ以内の新規物件を調査し、月毎の賃貸契約件数を確約することで優良物件を確保
③日勤希望者への交代勤務の理解促進
・110名以上の日勤継続希望者に対し、交代勤務の必要性や期間、メリット・デメリットなどを丁寧に説明・議論
④本社管理者育成部門との連携による現場管理能力の強化
・本社専門部署と連携し、管理者のマネジメント能力の把握、育成計画の決定、個別指導による改善を実施し、交代勤務に対応できる事業所管理体制を整備し、在籍スタッフへのケアを強化

上記の取り組みを行った結果、以下のような目標達成をすることができました。

①在籍スタッフ数を6か月後450名まで拡大し、増員130名の目標を達成
②交代勤務の希望者を5名から260名まで拡大
③寮の確保については95件の確保目標に対し、102件の確保で目標達成
④50％以上が「働きにくい／やや働きにくい」と回答していたところを、20％まで改善

本事例では、海外輸出品需要増加に伴う生産強化のための人員拡大において、採用、勤務体制、寮確保、スタッフの働きにくさなどの課題に直面しながらも、強固なブラジル人採用ルートの活用、大規模採用に対応できる入居物件の整備、日勤希望者への丁寧な説明、本社管理者育成部門との連携による現場管理能力の強化といった解決策を講じることで、目標を達成することができました。
今後も、お客様の生産能力強化に貢献できるよう、様々な課題に対して最適なソリューションを提供してまいります。