1. 製造業における派遣スタッフの定着率向上に
    寄与する取り組みとは

派遣コラム

2023.07.31

製造業における派遣スタッフの定着率向上に
寄与する取り組みとは

         

日本の産業を支えるうえで非常に重要な役割を果たしている製造業ですが、昨今では「厳しい労働環境についていけない」「単調な作業に飽きてしまう」といったマイナスなイメージをお持ちの方も少なくありません。

そんな中、製造業の企業の多くで少子高齢化に伴う労働人口の減少や、製造業へのマイナスイメージから人手不足に陥っています。
加えて、限られた労働人口が東京などの都心部に集中することから、特に地方の製造現場において深刻になっています。
また、2025年には65歳以上の高齢者人口が総人口の約30%に達する「2025年問題」が社会問題になっており、今以上の働き手の不足が予想されます。

そのような人材の不足時に、充分な人的リソースを確保できることから、人材紹介会社や人材派遣会社を活用する企業が年々増加しています。
それに伴い、派遣を検討または活用している多くの製造業の担当者様から派遣スタッフの定着率を懸念する声を頂きます。実際に今年の7月に実施した「派遣活用時に気になること」についての弊社アンケートでは、製造派遣スタッフの「定着率に課題を感じている」という声が全体の22%と「人材の採用力」についで2番目に多く上がりました。そこで、今回は製造派遣スタッフの定着率向上に有効な取り組みについてご紹介致します。

製造派遣スタッフの退職理由

初めに、製造業における派遣スタッフの退職理由として次のようなことが考えらます。
「仕事についていけない。」
「単調な作業がつらい。」
「職場の人間関係がつらい。」
「待遇に満足できない。」
「職場環境が整っていない。」

仕事についていけない

なかでも多く挙がる「仕事についていけない」という理由は、事前の研修や、入職後のフォローを行っていない場合に生じてしまいます。入職間もない時期は、不慣れな環境から不安が生じやすくなっています。派遣スタッフへのフォロー体制が整っていないと、配属の前と後でギャップが生じてしまい、結果として派遣スタッフの離職に繋がってしまいます。

単純な作業がつらい

日々同じ単純作業を繰り返すと、個人のスキルアップや成長を体感する機会が減り、これが結果としてモチベーション低下を引き起こします。特にキャリア上の目標が見えない状況では、「現状維持で本当にいいのだろうか」という不安感が頭をよぎり、精神的なストレスを感じることがあります。このような単調な作業の繰り返しは、未来に対する明確なキャリアビジョンが持てず、結果的に離職の原因となりえます。

職場の人間関係がつらい

続いて多く挙げられるのが「職場の人間関係がつらい」という理由です。製造業は社員の安全第一に考え、安全管理を徹底している企業が多い一方、それに伴い円滑なコミュニケーションがとりづらいケースがあります。職場の人間関係に関する不安や不満があった際に、相談に乗ってくれる人がいないと離職に直結してしまいます。また、製造派遣の場合は遠方から働きに来ている人も少なくありません。最初はほんの些細な不満であっても、相談できる人が周りにいないことで、一人で抱え込んでしまい次第に職場から足が遠のいてしまうケースも少なくありません。

待遇に満足できない

評価制度と福利厚生の充実は、定着率を高める為の必要な施策です。正当な評価と、成果に見合った報酬が得られず、待遇面で不満を感じてしまうと、離職の要因となります。また、「休日がなく、ワークライフバランスが整っていない」といった福利厚生を充実させることは、従業員の定着率の向上に繋がるだけでなく、企業としての社会的信頼性が高まります。

職場環境が整っていない

働く環境の雰囲気や設備面など不適切さは、従業員の身体的、精神的健康に影響を与えます。悪化する職場の雰囲気は離職率の増加を引き起こし、それに伴い業務負荷が既存の従業員に増える結果となります。これは既存の従業員の満足度低下を招き、さらなる離職のリスクを引き上げる可能性があります。

定着率向上への取り組み

上記のような問題が主な退職理由となりますが、フジアルテでは定着率向上のために下記のような具体的な取り組みを進めています。

教育研修の実施

先ほども述べた通り、いざ業務を始めると「業務についていけない」「馴染めない」など様々な理由から業務に不安を感じる製造派遣スタッフの方は少なくありません。
そういったスタッフの離職率を下げるには、入職後すぐに業務を任せるのではなく、入職前の事前研修や入職後の教育研修を実施し、まずは安心して業務に取り組める環境を提供することが重要です。また。教育の機会を提供することで職場に対して良い印象を持ってもらうことができます。
こうした教育機会の提供はスタッフが業務についていけるようにするだけでなく、不慣れなスタッフを孤独にさせないサポートにも繋がります。また、業務に慣れてきたスタッフには個人の段階に合わせた研修を実施することでスタッフのキャリアアップを促すだけでなく、優秀な人材のモチベーション向上と定着率向上に繋がります。

風通しが良い職場環境

次に、人間関係においては、入職初期のコミュニケーションがカギとなります。人間関係が構築されるまでの間は、些細なことでも不安や悩みを感じやすくなります。入職後しばらくは教育担当を明確にし、新しく入った派遣スタッフが質問しやすい環境を作ることが必要です。しかし、先ほども述べた通り、製造業は安全衛生上の観点から工場内でのコミュニケーションが取りづらいケースがあり、孤独を感じるスタッフも少なくありません。派遣スタッフの心身の健康を維持するためにも、人間関係の悩みや不安に限らず、些細なことを相談できる環境を作ることが非常に重要です。

定着率を上げるために派遣先企業ができること

ここまで、製造派遣スタッフの離職理由を踏まえ、定着率の向上に有効な取り組みをご紹介してきました。
では、実際に派遣スタッフを活用する現場で実施できる取り組みをご紹介します。
製造派遣スタッフの定着率を向上させるためには、派遣会社が協力して定着率向上に関するアプローチを行うことが非常に重要です。社会の変化が著しい現代では多様化する働き方にどう対応するのか、スタッフが働きやすい職場環境をどのように整えるのかといった事が求められます。そうしたニーズに対応するためには、定例会などで定期的に現場の課題を共有し、共通の目標に向かって定着支援活動を行うことが非常に重要なのです。

定着率向上のためにフジアルテが行っていること

では、実際に当社が定着率向上の為に実施していることをご紹介します。

スタッフに合わせた階層別教育研修プログラムの構築

当社は製造を専門に取り扱い、今年で60年になります。60年のなかで多くの製造現場に携わってきた経験から、現場で生じる悩みや不安を熟知しています。それに伴い、当社では製造経験の浅いスタッフでも仕事についていけるように作業マニュアルや、教育プログラムを各種用意しています。作業を標準化し、初心者でも理解しやすいマニュアルにすることで、派遣先企業にとって負担になる引き継ぎや教育の手間を省くとともに、安全に配慮しながら質の高い作業に集中していただくことが可能になります。
具体的には、弊社から教育トレーナーをリーダーとして配置して、作業標準、マニュアルを提供するようにします。未経験者にも分かるように内容を噛み砕いてお教えしているので、仕事内容をきちんと理解して職場に馴染み、長く働いていただくことができます。

スタッフと信頼関係を築くための定期的な面談の実施

また、スタッフの些細な離職兆候を見逃さないために、当社ではフジアルテ・フォロー・システムによる定期的なスタッフ面談を実施しています。
具体的には、意欲が低下しやすい入職時や入職時から3日目、1週間目、1カ月目のスタッフへ面談や積極的なコミュニケーションを図り、意欲低下兆候を早期発見することで、適切な対応を可能にしています。
加えて、年に数回スタッフのキャリア支援を目的にキャリア面談も実施しています。キャリア面談ではキャリアサポーターが面談を行い、スタッフが将来目指す姿を共有しサポートすることで、スタッフのモチベーションの向上に努めています。
万が一、スタッフの退職が生じた際にも面談を実施し、不満や不安があればしっかりとヒアリングを行い、お客様に共有させて頂くことで、さらなる定着率の向上に寄与させていただいています。

様々な現場に応じた改善事例などの提供

当社の長年の実績のなかには、輸送機器や食品、医療に至るまで多種多様なお客様との取引実績があります。そういった経験を生かし、スタッフの定着率について要因分析を行い、改善案を提案させていただいています。
過去の事例としては、生産計画の変動や急な受注から、人材確保に慢性的な課題を抱えていたA社での定着率改善があります。派遣社員の労務管理不足やコミュニケーション不足があり、2ヶ月未満の離職率が50%となっていましたが、管理体制強化や福利厚生の充実化によって、2か月未満の離職率が10%と大きく減少し、生産計画が適正に遂行できるようになりました。また、突発的な無断退職や勤怠不良退職者も減少したことで、工程リーダー職制の管理工数・負荷の軽減にも大きく寄与しました。
こうした取り組みを含む、当社の改善活動は、2018年度「QCサークル石川 馨賞奨励賞」を始め、県知事賞を受賞するなど、高く評価されております。

フジアルテの現場管理担当者にインタビュー
「製造派遣サービスを提供するにあたって、定着率向上のために意識していること」

最後に、日々製造現場にスタッフを派遣する、弊社の現場管理担当者へ派遣スタッフの定着に関するインタビューを行いました。
実際に現場で生じる「生の声」をぜひお役立てください。

まず最初に、派遣スタッフの定着率を向上させるための取り組みや、意識していることについてお聞きしたいと思います。

当社では、スタッフとのコミュニケーションを増やすことを特に重視しています。理由は、派遣スタッフの離職理由の多くは、
         職場の人間関係の問題から来ているからです。特に配属当初は、慣れない環境からくる不安を軽減するために、
         定期的に彼らの状況を確認し、直接会う以外にも、電話や当社アプリを利用してコミュニケーションをおこなっています。

スタッフの方々の不安や悩みの兆候を早期に発見するために、対面だけでなく電話やスマホアプリも活用しているんですね!

はい。その上で、ツールだけだと相手の表情が見えないため、悩みや不満が生じた際には直接会って話を聞くようにしています。
         悩みの原因を探るために時間をかけて話を聞き、一緒に解決策を探すことを心がけています。また、現場の事情を把握するためにも
         定期的に現場に足を運びます

自身が現場に足を運ぶことで、スタッフの悩みの原因をしっかり探ることを意識されているんですね。
        現場を訪問するにあたって、何か特に意識していることはありますか?

当社では、派遣スタッフが参加する工程の管理者とのコミュニケーションの機会を増やすことに重きを置いています。例えば、スタッフの就業前に、
         その現場を訪問し、スタッフの出勤状況を確認する際に、管理者とのコミュニケーションを意識的に取っています。このような機会を通じて、
         管理者から直接聞くことで、現場の状況や管理者の課題認識を把握できます。実際に、私が製造工程で働くわけではないからこそ、
         こうした情報をとても大事にしています。

作業管理者との関係性を深めるために他に何か行っていることはありますか?

定例会の開催を通じて、作業管理者の感じている課題を把握することを心がけています。定例会では、当社からも派遣スタッフの定着率についての
         取り組みを報告し、次のステップについて話し合う機会を設けています。

定例会を設け、双方で定着率向上に対する認識を合わせることで、さらなる定着率の向上に努めているのですね。最後に、お客様に派遣サービスを
        提供する際に大切にしていることは何ですか?

当社の行動指針である三現主義を活動の中心に置いています。お客様の課題を解決するためには、現場を訪問し、お客様と派遣スタッフの状況を
         正確に把握することが不可欠です。人材派遣会社は他にも多くありますが、そういった現場経験を真摯に積み重ねることで、60年間、
         製造業に携わってきたフジアルテだからこそできる「お客様の真のニーズに即したご提案や対応」を提供できるよう努めています。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回は製造派遣スタッフに絞った、定着率向上に有効な取り組みについてご紹介しました。
派遣スタッフがすぐ辞めてしまうとお困りの製造企業担当者様はぜひ参考にされてみてください。
当社フジアルテでは人材に関する無料相談を実施しています。
人材不足に関するお悩みや、スタッフの定着率に関するお悩みがございましたらお気軽にお問い合わせください。
★フジアルテへのお問い合わせはこちら

 

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