派遣コラム
グローバル人材労働者 受け入れ状況の変化と課題
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(2021.9.6配信記事のデータを更新しています)
日本の労働人口は減少の一途をたどっています。今後、自社の採用を「日本人の若手」だけにターゲットを絞っていれば、いずれは自社における働き手の枯渇が予想されます。国の方針としても女性やシニアの活躍が掲げられておりますが、グローバル人材労働者の誘致も重要な方針として打ち出されています。
今回の記事では、グローバル人材労働者増加の背景や、「国籍・性別・産業別などの切り口でみたグローバル人材労働者の受け入れ状況の変化」とグローバル人材労働者が活躍するためのポイントとして「グローバル人材労働者からみた就職活動から定着・活躍までの課題と支援のポイント」をご紹介していきます。
グローバル人材労働者の区分
まず、グローバル人材労働者は以下の4つの区分でみていくことができます。
<在留資格分類>
①永住者・日系人など ・・・ 在留中の活動に制限がなく、様々な分野で報酬を受けることができる。
②専門的・技術敵分野 ・・・ 各在留資格に定められた範囲で報酬を受け取ることができる。
③技能実習 ・・・ 技能実習生は、入国時は、雇用関係のない「研修」の在留資格で入国し、1年経過後に雇用関係のある技能実習(在留資格「特定活動」)に移行する。
④資格外活動 ・・・ 留学生のアルバイト等
就労目的で在留が認められる方がいわゆる「専門的・技術的分野」とされ、「高度な専門的な職業」、「大卒ホワイトカラー、技術者」、「グローバル人材特有又は特殊な能力等を活かした職業」に大別されます。この3つのカテゴリーで範囲となる職種が決まっています。
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日本国内で就労しているグローバル人材労働者の推計
厚生労働省が発表した『「外国人雇用状況」の届出状況まとめ』によると、2016年には初めて100万人を突破し、2020年10月時点での総数は172万人(前年比3.9%増)と過去最多を更新し続けています。
在留資格別に見ると、最も多いのは「身分に基づく在留資格」を持つ人で約54.6万人、以下「技能実習生」が約40.2万人、「資格外活動者」が約37.0万人、「専門的・技術的分野の在留資格」を持つ人が約35.9万人などとなっています。
また、全労働者に対するグローバル人材労働者の構成比については、内閣府が発表したデータによると、2008年時点では0.8%だったのが、2020年には2.5%と、3倍に増えていることがわかります。グローバル人材労働者の労働市場に占める存在感は次第に大きくなっていると言えるでしょう。
グローバル人材労働者の国籍別の統計
次にグローバル人材労働者の国籍別の統計をご紹介します。
下図は、厚生労働省発表の『「外国人雇用状況」の届出状況まとめ』によるグラフです。2020年10月時点で、日本で働くグローバル人材を国籍別に見ると、最も多いのはベトナムで26%(約44万人)、次いで中国が24%(約41万人)となっています。このことから、中国とベトナムの2カ国からの労働者が、全体のおよそ半数を占めている状況にあることがわかります。
また、ベトナム以外の東南アジア諸国に関しては、フィリピンが11%(約18万人)、ネパールが6%(約10万人)、インドネシアが3%(約5万人)となっており、東南アジア諸国が全体の約45%と高い割合を占めていることがわかります。
さらに、ブラジルが7%、ペルーが2%と、全体の約1割は南米からの労働者となっています。東アジア、東南アジア、南米諸国からの労働者が全体の80%以上を構成している状況です。
グローバル人材労働者の産業別の統計
グローバル人材労働者が従事する産業別の割合を見ると、「製造業」が32%で最も多く、次いで「サービス業(他に分類されないもの)」が19%、「卸売業・小売業」が16%の順となっています。
グローバル人材労働者が活躍するシーンの変化
ご紹介したように、やはりグローバル人材労働者は製造業で活躍している割合が高いといえます。
よくグローバル人材労働者の仕事は「定型・裏方業務」というイメージを持たれがちですが、「対人、リーダーシップを発揮」といった活躍の場が広がっていることを理解しておくことも重要です。
グローバル人材労働者を募集する際の課題(グローバル人材目線から)
最後に、グローバル人材労働者の活躍のため、グローバル人材労働者が困ってしまう課題や解決をサポート際のポイントをご紹介していきます。
グローバル人材労働者が困ってしまうことを「就職活動~入社~定着・活躍」といった時系列で確認していきましょう。
①探す ・・・ 「探し方がわからない」「グローバル人材OKが少ない・不明」
②応募(説明会) ・・・ 「日本語で履歴書作成が難しい」
③面接/選考 ・・・ 「筆記試験が難しい」「日本語で条件のすり合わせが難しい」
④内定 ・・・ 「ビザ対象職務かどうか」「取得や手続きが不安」
⑤入社 ・・・ 「グローバル人材の特性が活かせない」「志向にあう育成・キャリアパスがない」
⑥研修 ・・・ 「時間・上下関係に厳しい」「仕事が曖昧」「年功序列・残業が多い」「宗教や習慣などの違いへの理解」
⑦定着・活躍 ・・・ 「買い物、役所などの手続きがわからない」「ゴミ出しなどの生活習慣がわからない」「配偶者や子供の周囲からの孤立(教育環境や周囲となじめない)」
各ステップでグローバル人材労働者が抱えている不安や課題を把握しサポートしたいところです。
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グローバル人材労働者を受け入れる際のポイント
グローバル人材労働者が抱える課題を踏まえて大事なポイントをまとめます。
①募集・選考ステップ
相手目線で(日本の常識ではなく)、募集条件(配置・配属)や応募プロセス(履歴書作成等)を日本語の問題等に配慮し、手法の見直し、すり合わせを丁寧に行うことが大切です。
②受入準備ステップ
境界のない職場環境・育成環境やグローバル人材と日本人の違いの相互理解を深めることが大切です。
(例:能力開発、メンタルサポート、安全衛生、言語・宗教・文化)
③入社ステップ
社会的な自立を支援することが大切です。言語の違い以外にも直面する困難は多く存在します。生活者としての自立や地域に馴染めるよう積極的にサポートをしていきましょう。配慮者や子供へのサポートもあわせて大切です。
(例:買い物、病院、役所手続き、ゴミ出しなどの生活習慣)
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まとめ
いかがでしたでしょうか。年々存在感を増しているグローバル人材労働者ですが、彼らの強みはたくさんあります。
「まじめで定着率が高い」「学ぶ意欲が高い」「仕事を理解し自分の成長につなげる姿勢」などグローバル人材労働者ならではの魅力的な特性を発揮してもらうためにも、彼らが直面する課題へのサポートを積極的に行えるとよいでしょう。
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