労務管理Q&A
組立工の派遣労働者に1日だけフォークリフト作業を依頼しました。 派遣会社から派遣料金変更の申入れがありましたが、なぜでしょうか。
ご質問内容
組立工の派遣労働者に1日だけフォークリフト作業を依頼しました。 派遣会社から派遣料金変更の申入れがありましたが、なぜでしょうか。
専門家からの回答
派遣労働者の待遇を労使協定方式で決定している場合、その賃金は厚生労働省職業安定局長が通達した「職業ごとの初任給水準」を下回ることができません。組立工とフォークリフト運転手は異なる職業に分類され、フォークリフト運転手の賃金の方が高いため、派遣料金の変更を求められたのでしょう。
派遣労働者の同一労働同一賃金
令和2(2020)年4月1日から、派遣労働者の待遇は、派遣先で類似の働き方をする労働者の待遇と比較して決定する(派遣先均等・均衡方式)か、または職業安定局長が通達する「全労働者の職業別の賃金水準」と比較して決定する(派遣元労使協定方式)か、いずれかによらなければならないと定められています。
厚生労働省の調査によれば、令和6(2024)年度は派遣元の90.5%が労使協定方式を採用しています(弊社「労務講座」2025年2月発刊Vol.47参照)。
令和7(2025)年度の「電気機械組立工」と「フォークリフト運転作業員」の時給を例に、派遣労働者の職業別賃金の決定のしくみを見てみましょう。
上記のように、派遣労働者がどのような職業に従事するかによって、派遣元事業主が派遣労働者に支払うべき賃金の最低水準が異なります。
平素は電気機械組立のライン業務に従事する派遣労働者に1日だけフォークリフトを操作する作業に従事してもらうと、当該1日については時給1,287円(派遣先が大阪府の場合)支払わなければ法律違反になるのです。
このため、派遣料金もフォークリフト運転作業員の単価によることを、派遣元から求められるのです。
臨時にいつも異なる作業を依頼する場合
そもそも、派遣労働者に従事してもらう業務は、労働者派遣契約書に記載する業務のみとなります。
したがって、派遣労働者が従事する業務の内容を「電気機械組立」とした場合、組立ではない作業を依頼するには、労働者派遣契約の変更が必要になります。
時々、平素とは異なる作業を依頼することが予想される場合は、あらかじめ次のような契約を締結するとよいでしょう。
労使協定方式で待遇が決定する派遣労働者は、欧米のジョブ型雇用のように実際に従事する業務内容により賃金が左右されますので、どのような作業に従事してもらう可能性があるのか、派遣受入前に派遣元の営業担当者とよく相談されることをおすすめします。
監修:田原咲世 氏(北桜労働法務事務所 社会保険労務士)
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