1. 派遣先で「労働者の過半数代表者」を適切に選任できなかった場合 派遣先事業所単位の派遣受入期間は延長できないのか

労務管理Q&A

2022.02.22

派遣先で「労働者の過半数代表者」を適切に選任できなかった場合 派遣先事業所単位の派遣受入期間は延長できないのか

ご質問内容

当社は派遣先で、労働組合はありません。このたび、派遣先事業所単位抵触日を延長するために、労働者の過半数を代表する者(以下「過半数代表者」という)を選出して意見を聴くこととなりました。
「過半数代表者に立候補しているのは▲▲さんです。指定期日までに特に意見がなければ信任とみなします」と社内掲示板に掲示する方法で選出してよいでしょうか。

専門家からの回答

過半数代表者を選出するときは、
① 何のために選出するのかを明らかにした上で、
② 労働者の過半数がその人の選出を支持していることが明確になる民主的な手続き(投票や持ち回り決議等)が必要です。
過半数の支持を得ていない代表者に意見を聴いても、派遣先事業所単位抵触日を延長する法的効果は発生しません。

派遣先事業所単位の抵触日の延長

派遣先は、派遣先事業所ごとに派遣労働者を3年間受け入れることができます。
派遣労働者は「臨時の需要に対応するため」の労働力なので、臨時の期間(3年間)という制限が設けられているのです。

この期間制限に抵触する日(3年と1日目=抵触日)以降も派遣労働者を受け入れたい場合は、派遣先の過半数労働組合または過半数代表者に、抵触日の1か月前までに抵触日延長に関する意見を聴く必要があります。

派遣先事業所単位の抵触日の延長の流れ

過半数代表者の適切な選出方法

①何のために選出するか明らかにすること
「36協定」「変形労働時間協定」「派遣先事業所単位抵触日延長につき意見を述べる」「就業規則変更につき意見を述べる」など、複数の目的を明示して選出することも可能です。

②労働者の過半数がその人の選出を支持していることが明確になる民主的な手続をすることが必要
投票、持ち回り決議、集会での挙手などが推奨されます。
「▲▲さんを選出することに反対の人は意見を述べて下さい。◯月◯日までに意見がなければ全員賛成とみなします」と告知するような「過半数の意思が明確ではない“みなし”手続」は不適切です。

③雇用保険適用事業所を「派遣先事業所」の基礎単位と考え、労働者の母数を間違えないように
複数の建物をあわせて1つの雇用保険適用事業所としている場合は、複数の建物で雇用されている全労働者を分母とすることになります。

派遣先の過半数代表者の適切な選出方法

京都営業所と神戸営業所 の規模が小さく独立して労務管理できない場合、関西支社に包括され、この3つの建物で1つの派遣先事業所とみなします。
3つの建物で雇用される全労働者の過半数の支持を得て選出して下さい 。

【Q】実際には過半数の支持を得ていないのに「過半数代表者 」として意見を聴いても抵触日の延長はできないのですか。その場合、抵触日以降も受け入れている派遣労働 者はどうなりますか?

【A】適切な過半数代表者ではない場合、意見聴取は無効となり、抵触日は延長できません。抵触日以降も誤って期間制限のある派遣労働者を受け入れていた場合「労働契約申し込みみなし制度」が適用され、派遣先に雇用されることを希望する派遣労働者を直接雇用しなければなりません。

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