1. 労働者派遣個別契約書に記載する派遣先事業所の所在地と派遣労働者の就業場所が異なる場合の注意点

労務管理Q&A

2022.08.31

労働者派遣個別契約書に記載する派遣先事業所の所在地と派遣労働者の就業場所が異なる場合の注意点

ご質問内容

先日、労働局の調査があり、労働者派遣個別契約書に記載した派遣先事業所の所在地が、派遣労働者の実際の就業場所と異なる旨の指摘を受けました。
労働者派遣個別契約書に記載する派遣先の所在地は契約締結事業所ではいけないのでしょうか。

専門家からの回答

労働者派遣個別契約書には法令で定められた16の項目を記載しなければなりません(紹介予定派遣や、期間制限がない業務への派遣の場合はさらに追加項目があります)。
今月号は、契約項目のうち主に派遣先の事業所に関する記載について取り上げます。
特に契約締結実務を行う事業所と派遣労働者が実際に就業する場所が異なる場合は注意が必要です。

労働者派遣個別契約書

恒常的に取引先と交わす基本契約書とは別に、個別具体的な派遣就業について就業条件等を記載する労働者派遣個別契約書(以下「個別契約書」)は、労働者派遣法第26条及び厚生労働省令に基づき締結しなければなりません。
個別契約書には 以下の16項目を必ず記載しなければなりません。

①派遣労働者が従事する業務の内容
②業務に伴う責任の程度
③派遣先事業所の名称及び所在地その他派遣就業の場所並びに組織単位
④指揮命令者の部署・役職・氏名
⑤派遣就業する日
⑥始業・終業時刻、休憩時間
⑦安全衛生に関すること
⑧○苦情処理の方針 ○派遣元・派遣先の苦情申出先の部署・役職・氏名・連絡先
⑨労働者派遣契約解除にあたって講ずる雇用の安定のための措置
⑩派遣元責任者の部署 ・役職 ・氏名・連絡先
⑪派遣元責任者の部署 ・役職 ・氏名・連絡先
⑫⑤で定めた日、⑥で定めた時間以外に労働させる場合の日数・時間数
⑬派遣労働者に適用される福利厚生
⑭派遣先が派遣労働者を直接雇用する場合の紛争防止の措置
⑮派遣労働者を協定対象者に限定するか
⑯派遣労働者を無期雇用60歳以上に限定するか

派遣先事業所の所在地と派遣就業の場所の記載

例えば倉庫内作業に労働者派遣を行う場合、個別契約書を作成し契約を締結する権限を有する事業所の所在地と 、実際に派遣労働者が就業する倉庫の所在地が異なる場合があります。

事業所の所在地と派遣労働者が就業する倉庫の所在地が異なる場合

上図のような場合「③派遣先事業所の名称及び所在地その他派遣就業の場所並びに組織単位」は以下のように書き分けます。
派遣先事業所(ここでは大阪物流支店)で実際に派遣就業する場合は、「派遣就業の場所」を書き分ける必要はありませんが、組織単位は記載してください。

派遣先事業所の名称及び所在地その他派遣就業の場所並びに組織単位

個別契約書の記載内容と抵触日の判断

都道府県労働局は、派遣先が「派遣先事業所単位の抵触日」を遵守しているかどうかを確認する際に、雇用保険適用事業所の単位や個別契約書への記載状況、「派遣先事業書単位の抵触日通知書」等を総合的に勘案して判断します。
また、「組織単位ごとの抵触日」の遵守についても 、個別契約書の記載状況と現場の指揮監督状況を総合的に勘案して判断します。
いずれの抵触日超過も重大な法律違反であり「労働契約申し込みみなし制度」 の対象となるため、このように厳密な記載が求められるのです。


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