労務管理Q&A
発注者として請負事業者が雇用する労働者に安全教育をしたいのですが偽装請負とみなされないか心配です。
ご質問内容
最近、構内の下請事業者の作業場で、転倒などの業務災害が連続して発生しました。
発注者としては、下請事業者の作業場所を巡回して安全を確認したり、下請事業者の雇用する労働者にも安全上の教育を実施したいのですが、このような行為は偽装請負とみなされるのでしょうか。
専門家からの回答
平成18(2006)年8月に「製造業における元方事業者による総合的な安全管理のための指針」が制定されました。
発注者が指針に基づき、下請事業者も含めた事業場全体にわたる労働安全衛生管理を確立することは義務であり、必要な情報共有や構内安全衛生教育の実施のみをもって偽装請負とは判断されません。
製造業における元方事業者の義務
「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年旧労働省告示第37号、最終改正平成24年厚生労働省告示第518号)では、適切な請負は「自己(請負事業者)が雇用する労働者を従事させる」ものであり、「業務の遂行方法に関する指示その他の管理」「秩序の維持、確保等のための指示その他の管理」を自ら(請負事業者)行うと定めています。
しかしながら、構内で複数の下請事業者が混在している場合に、安全に関する情報が共有されず業務災害が発生しやすくなります。
そこで、厚生労働省は労働安全衛生法を改正し、製造業に属する発注者で仕事の一部を構内にて請負事業者に下請けさせている者(「元方事業者」といいます)に、作業間の連絡調整義務等を課し、併せて平成18(2006)年8月に「製造業における元方事業者による総合的な安全管理のための指針」を策定しました。
元方事業者と関係請負人が実施すべき事項
「製造業における元方事業者による総合的な安全管理のための指針」に定める、元請け事業者と、その下請事業者(「関係請負人」といいます)の責任分担は次のとおりです。
労働者派遣個別契約締結ごとに抵触日を通知
製造業の元方事業者は、関係請負人と協議の場を設けたり、作業場所の安全を確認するために巡回したり、また、関係請負人が労働安全衛生教育を行う際には安全に関する情報の提供や講師の派遣などにより、事業場全体の業務災害の発生を防止することが求められます。
これらの行為をもって偽装請負とは判断されませんので、事業場全体にわたる安全衛生管理のために、積極的に関係請負人に声をかけてゼロ災への取組を促進してください。
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