1. 抵触日のない「日数限定業務」とはどのような業務ですか。 派遣労働者の出勤が月10日以下なら「日数限定業務」にあたりますか?

労務管理Q&A

2023.11.29

抵触日のない「日数限定業務」とはどのような業務ですか。 派遣労働者の出勤が月10日以下なら「日数限定業務」にあたりますか?

ご質問内容

同業者から「派遣労働者1人につき派遣先への出勤が月10日以下なら抵触日がない」「日数限定業務として労働者派遣契約を締結するとよい」と聞きました。
本当に抵触日がないのでしょうか。

専門家からの回答

「日数限定業務」には、派遣労働者の受入期間制限がありませんので、抵触日はありません。ただし、「派遣労働者1人につき月10日以下の出勤日数であれば日数限定業務である」という解釈は誤っています。
最近、誤った解釈で派遣労働者を受け入れて行政指導の対象になる例が増えていますので、注意して下さい。

派遣受入期間制限がない(抵触日がない)場合

労働者派遣は「派遣就業は臨時的かつ一時的なものであることを原則とするとの考え方」(労働者派遣法第25条)に基づき、派遣労働者を受け入れる事業者(派遣先)に
原則3年間以内の派遣労働者の受け入れ制限、派遣労働者には同一の仕事に継続3年間までしか派遣就労できない制限を、それぞれ課しています。

これが「労働者派遣期間制限」であり、期間満了の翌日(法律違反となる最初の日)を「抵触日」と言い、抵触日以降の労働者派遣は禁止されています。
ただし、抵触日がない(期間制限がない)例外が以下のとおり存在します。

派遣先・派遣労働者ともに抵触日がない例外一覧
派遣労働者の
属性による例外
〇派遣元に無期雇用される派遣労働者
〇60歳以上の派遣労働者
派遣労働者が従事する
業務による例外
〇日数限定業務
〇有期プロジェクト業務
〇産前産後休業、育児休業、介護休業を取得する派遣先の労働者の代替要員の業務

日数限定業務

労働者派遣事業関係業務取扱要領における「日数限定業務」は次のとおりです。

派遣労働者の従事する業務が1箇月間に行われる日数が、当該派遣就業に係る派遣先に雇用される通常の労働者の1箇月間の所定労働日数に比し相当程度少なく、かつ、月10日以下で ある業務(「日数限定業務」第40条の2第1項第3号ロ)

ここで注目すべきは、「派遣労働者が1か月間に出勤する日数」ではなく、「派遣労働者が従事する業務が1箇月間に行われる日数」という表現です。
多くの派遣先で「派遣労働者が派遣先に出勤する日数が月10日以下」と誤解しているようですが、「その業務が月10日以下しか発生しない」が正解です。

また、「当該派遣就業に係る派遣先に雇用される通常の労働者の1箇月間の所定労働日数に比し相当程度少なく」とは、厚生労働省令で「半分以下である」と定められていますので「派遣先の通常の労働者の月所定労働日数の半分以下かつ月10日以下しか発生しない業務」ということになります。
例えば、平日は外観しか見ることができない住宅展示場において土日のみモデルハウス内を案内するコンパニオンの業務(案内業務は土日しか発生せず、暦上で10日以内)、月1回だけ行われるスーパーの棚卸専門のスタッフの業務などが該当します。

日数限定業務の労働者派遣契約書記載事項

「日数限定業務」で労働者派遣契約を締結する場合は、契約書に「法第40条の2第1項第3号ロ(日数限定業務)である」「1か月に当該業務が発生する日数」「派遣先の通常の労働者の月所定労働日数」を記載する必要があります。

甲(派遣先●●● )と乙(派遣元■■■ )とは、次のとおり労働者派遣契約を締結する。
1.業務の内容 ガス調理器具ショールームにおける料理教室アシスタントの業務

労働者派遣法第40条の2第1項第3号の業務
1か月に行われる日数 8日
派遣先の通常の労働者(正社員)月所定労働日数21日

2.責任の程度 上司の指揮命令下で従事する補助職(部下なし、緊急対応なし)
3.派遣先 株式会社●●●ガス 大阪市中央区▲▲町1-2-3 ☓☓ ビル
4.就業場所
株式会社●●●ガス ▲▲ショールーム
大阪市区町999 ◎◎ビル2階 (電話 06 6130 …
組織単位:マーケティング事業部 第3課(組織単位の長:第3課長)
5.派遣期間 2023年12月1日~2023年12月31日
6.派遣就業日 12月2・3・9・10・16・17・23・24日

無料

製造業の人事・労務の最新情報をメルマガで
いち早くお届けします!

メルマガ登録をすると、過去の「労務管理Q&A」も会員専用ページにて全てご覧いただけます。
  • 人材派遣の業界ニュース、関連法案の見解
  • 労働問題のお悩みに専門家が詳しく回答
  • コンプライアンス・セミナーの開催情報