1. コロナ感染症の影響でしばらく派遣労働者を受け入れていませんでした。 派遣受入を再開する際、派遣先事業所単位抵触日はどうなりますか?

労務管理Q&A

2023.06.20

コロナ感染症の影響でしばらく派遣労働者を受け入れていませんでした。 派遣受入を再開する際、派遣先事業所単位抵触日はどうなりますか?

ご質問内容

わが社は、コロナ感染症の影響で、派遣労働者の受入を1年間中断しておりました。最近になって再び派遣労働者を受け入れることを検討しているのですが、派遣先事業所単位の抵触日は、どのように考えればよいのでしょうか。
派遣労働者を受け入れていない期間も、受入制限期間の3年間に含まれるのでしょうか。

専門家からの回答

派遣先事業所において、派遣労働者を受け入れない期間が3か月を超えると、過去の抵触日は一旦リセットされます。
この3か月を超える期間をクーリング期間といい、再度の派遣受入時には、再び3年間の受入制限期間を設定することになります。

派遣先事業所単位抵触日とは

労働者派遣法は、「臨時的・一時的な需要」に対して、労働者を派遣するために定められた法律です。したがって、派遣先事業所ごとに「臨時に忙しい期間」を定めて、当該期間のみ派遣労働者を受け入れることになっています。
これが派遣先事業所単位の派遣受入制限期間で、派遣先事業所が初めて派遣労働者を受け入れた日を起算日として3年間と定められています(派遣受入期間の制限がない適用除外のケースは除きます)。
下図では、初めて派遣労働者Xを受け入れた2021年4月1日が起算日になり、3年後の2024年3月31日が受入できる期間の終了日です。
このように受入制限期間が終了した翌日(下図では2024年4月1日)を「これ以降派遣したら法律に抵触する日」という意味で抵触日といいます。
抵触日図

クーリング期間

ところで、3年経過せずに派遣受入を中断するような派遣先もあるでしょう。派遣労働者を受け入れていない期間を「臨時の忙しい期間である3年間」に算入するのは不合理です。
そこで、一定期間、派遣労働者を受け入れない期間が継続すると、一旦、「臨時の忙しさ」は終了したものとみなすルールがあります。
新たな労働者派遣の開始と(中略)直前に受け入れていた 労働者派遣の終了と の間の期間が3月を超えない場合には 、(中略)直前に受け入れていた労働者派遣から
継続して労働者派遣の役務の提供を受けているものとみなすこと。」
(「派遣先が講ずべき措置に関する指針」第2の14(3)抜粋)
このように、派遣受入中断が3か月以内の場合は「臨時の忙しさは継続している」とみなすことになります。
したがって、3か月を超える期間(3か月と1日以上)、派遣受入を中断していた場合は、「臨時の忙しさ」は一旦終了したこととなり、次に受け入れる派遣労働者の派遣就業初日から再び3年間を起算することになります。
この3か月を超える期間は派遣先事業所単位の抵触日をリセットすることができる期間になるため、クーリング期間と呼ばれています(下図参照)。

クーリング期間図

労働者派遣個別契約締結ごとに抵触日を通知

派遣元事業主は、派遣先が、いつから派遣受入をしているのかわかりません。このため、派遣先は労働者派遣個別契約書を締結する際に、派遣先事業所単位抵触日を派遣元に通知しなければなりません。
「前回の労働者派遣契約締結からまだ3年経過していないので抵触日は変わらないから、毎回通知しなくてもよいのでは」という意見がありますが、受入の中断や事業所の合併等による組織再編などで、抵触日が変更されることもあり、労働者派遣個別契約締結の都度、通知が義務付けられています。

設問のような「久しぶりに派遣受入を再開する」時だけではなく、契約締結の都度、正しく抵触日を通知できているかご確認下さい。

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