1. 派遣労働者のストレスチェックテストの結果を知りたいのですが、派遣元に依頼して派遣先に情報を提供してもらうことは可能ですか?

労務管理Q&A

派遣労働者のストレスチェックテストの結果を知りたいのですが、派遣元に依頼して派遣先に情報を提供してもらうことは可能ですか?

ご質問内容

わが社では多くの派遣労働者を受け入れており、派遣労働者にとっても働きやすい職場環境を作るべきであると考えております。
つきましては、派遣労働者のストレスチェックテスト結果を知りたいと思っていますが、派遣元に依頼すれば情報を提供していただくことは可能でしょうか。

専門家からの回答

ストレスチェックテストの結果は、派遣労働者のみならず、すべての労働者について、テストを実施した医療機関等から受検者に直接通知されるため、結果を知るためには受検者の同意が必要です。
なお、派遣先が派遣労働者を対象にストレスチェックテストを実施し集団ごとの分析を行うことが、指針で「のぞましい措置」とされているので、派遣先でテストを実施する方法もあります。

ストレスチェックテストにおける派遣元と派遣先との役割

・派遣労働者に対するストレスチェック及び医師による面接指導については、労働安全衛生法第66条の10第1項から第6項までの規定に基づき、派遣元事業者がこれらを実施することとされています。
派遣先は、派遣労働者がストレスチェックテストを受検したり、医師による面接指導を受けられるように、必要な配慮をしなければなりません(シフトの調整や時間の確保等)。

・派遣元事業主が、派遣労働者に対する面接指導の結果に基づき、医師の意見を勘案して就業上の措置を講じる場合は、派遣先に対して当該措置の実施に協力するよう要請するので、派遣先は必要な協力を行わなければなりません。

・なお、派遣先でも派遣労働者に対するストレスチェックテストを実施し、個人が特定されない集団ごとの集計・分析を行うことは指針で「のぞましい措置」とされています。

派遣元 派遣先
ストレスチェックテストの実施 実施義務 受検時間、面接時
間確保等の配慮
医師による面接指導 実施義務
就業上の措置(配置転換等) 実施義務 必要な協力を行う
集団ごとの集計・分析 努力義務 のぞましい措置

派遣元を通じて派遣労働者の情報を得る

派遣元事業主が派遣労働者に、 ①結果を派遣元事業主に開示すること、 ②派遣先にも必要な情報を提供すること、
について同意を得た場合は、派遣先が派遣労働者のストレスチェックテスト結果を知ることができます。
派遣先は派遣元事業主と協議し、目的や手順について合意すること、安全衛生委員会などで個人情報の取扱い方針を定めることが必要です。

派遣先でもストレスチェックテストを実施する

遣先が、派遣労働者も含めた集団ごとのストレスチェック集計・分析を行うためには、派遣先においても、派遣労働者に対するストレスチェックテストを実施する必要があります。
このため、派遣労働者は、法に基づく義務として派遣元が実施するストレスチェックテストと、集団ごとの分析のために派遣先が実施するストレスチェッテストの両方を受けることになります。

派遣先で実施する派遣労働者に対するストレスチェックは、個人対応ではなく、集団ごとの集計・分析のために行うものであるため、
①無記名で行う、 ②「仕事のストレス判定図」を用いる場合は集団分析に必要な「仕事のストレス要因」及び「周囲のサポート」についてのみ検査を行う、などの方法で実施することも考えられます。

派遣元の委託を受けて派遣先でテストを実施する

派遣元の委託を受けて、派遣先が派遣労働者のストレスチェックテストを実施することができます。
この場合、派遣元事業主は派遣先に必要な費用の支払が求められ、テスト結果を得るだけでは労働安全衛生法上の義務を果たしたと評価されないので注意が必要です。

不利益取扱の禁止

派遣労働者がストレスチェックテストを受検しなかったことや、結果の開示に同意しなかった等を理由に、派遣先は派遣労働者の受入拒否など不利益な取扱をすることはできません。
直接雇用する労働者と併せて集団のストレス動向を把握し、職場環境が改善され、生産性の向上につながるように適切に情報を利用したいものです。

無料

製造業の人事・労務の最新情報をメルマガで
いち早くお届けします!

メルマガ登録をすると、過去の「労務管理Q&A」も会員専用ページにて全てご覧いただけます。
  • 人材派遣の業界ニュース、関連法案の見解
  • 労働問題のお悩みに専門家が詳しく回答
  • コンプライアンス・セミナーの開催情報