1. 大雨や地震など自然災害が頻発しているため避難訓練を実施します。 受け入れた派遣労働者も避難訓練に参加してもらうべきでしょうか。

労務管理Q&A

大雨や地震など自然災害が頻発しているため避難訓練を実施します。 受け入れた派遣労働者も避難訓練に参加してもらうべきでしょうか。

ご質問内容

大雨や地震など自然災害が頻発しているため避難訓練を実施します。 受け入れた派遣労働者も避難訓練に参加してもらうべきでしょうか。

専門家からの回答

近年、線状降水帯が各地で発生し大雨洪水被害が頻発しています。また、2026年7月の熊本地震のような震災も数年ごとに起こり得ます。特定の危険物を取り扱う事業場では、派遣先の労働者と派遣労働者は、わけへだてなく避難訓練に参加させることが必要です。それ以外の事業場でも円滑な避難のため、雇入れ時の教育訓練時として実施しておくことが求められます。

避難訓練は派遣先の消防法上の事業区分による

1923年9月1日関東大震災が発生したことを受け、9月1日は防災の日と位置づけられ、わが国では9月中に広く防災に関する行事が実施されています。
コロナ禍で規模縮小・中断されていた職場の集団避難訓練も多くの事業場で再開されています。
多くの人が集まる場所(以下の表参照)では、定期的な避難訓練の実施が義務づけられています。

場 所 根拠となる法律 義 務 頻 度
病院、診療所 消防法、医療法 実施義務あり 年2回~
商業施設 消防法 実施義務あり 年2回~
学校、保育所など 消防法、学校保健安全法 実施義務あり 年2回~
ガソリンスタンド等 消防法、労働安全衛生法 実施義務あり 年2回程度
化学物質製造、危険物取扱のある会社 消防法、労働安全衛生法 取扱内容により

実施義務あり

年1~2回
一般オフィス(ビルに入居の場合) 消防法 建物管理者による

実施に入居テナントとして参加

年1回~

化学物質の製造を行う事業場、また危険物の取扱事業場では、取り扱う物質の危険度により消防法だけではなく労働安全衛生法に基づく避難訓練実施が義務となっています。このような危険度の高い物質を取り扱わなくても、オフィスが建物に入居している場合は、建物の管理者が実施する消防法に基づく避難訓練に、入居テナントとして参加することが求められます。

派遣労働者も派遣先で業務に従事していますから、上記の区分に応じて避難訓練参加が必要です。ぜひ、声をかけて訓練への参加に便宜をはかってください。

労働安全衛生法の雇入時教育でも非常対応訓練が必要

労働安全衛生規則第35条では、新しく雇入れた労働者に以下の8項目の教育を実施することを義務づけています。うち7が非常時の初期対応や避難のルールを内容としています。

例えば消化器の使用方法、非常階段の場所の周知、火災時にはエレベーターを使用しないルール、退避の方向、建物から退避後の集合場所の情報などが含まれます。

なお、従前は1~4について非工業的事業では省略が可能でしたが、施行規則の改正により令和6(2024)年4月1日からは全業種・全雇用区分で全項目の省略が不可能となりましたので、注意が必要です。

  1. 機械・設備・原材料等の危険性や有害性および取扱方法
  2. 安全装置・保護具の性能および取扱方法
  3. 作業手順
  4. 作業開始時の点検
  5. 業務に関連する疾病の原因と予防
  6. 整理・整頓・清潔の保持
  7. 事故時の応急措置および退避方法 ← 火災時の初期消火や避難方法のこと
  8. その他業務に関する安全衛生上必要な事項

派遣労働者の場合、この雇入れ時の労働安全衛生教育は派遣元に実施義務がありますが、避難訓練をはじめとして派遣先でしか実施できない内容も多く、派遣元から派遣先に教育訓練実施を委託していることも多く見られます。派遣労働者も、派遣先に協力してスムーズに避難できるよう、派遣労働者受け入れ時のガイダンスの一環として、避難に関する教育訓練も実施することが望ましいです。

出勤/待機の判断をあらかじめ決めた方がよい

ところで、就業中の被災だけではなく、大雨洪水警報が発令されるような悪天候時に「出勤すべきか、自宅待機すべきか」について誰か責任を持って判断し、派遣労働者を含む全員に情報伝達するのかということも大切です。直接雇用/派遣労働者を問わず時給で働く労働者は、「給与が支払われないと生活にさしさわる」と感じて、無理に出勤しようとして被災する例もあります。

派遣労働者も含めて、災害時の出勤判断基準をあらかじめ決めておくと、そのような無理な通勤を避けることができます。

① 計画運休が判明したら前日に出勤/自宅待機を指示
② 当日の朝は緊急連絡網や、防災用アプリなどで情報伝達
③ 連絡がなくても「レベル3警報」以上の場合は自宅待機とする

など、あらかじめルール化しておくと、当日の朝に連絡が錯綜しません。
自然災害の多いわが国だからこそ、平素からの防災への取り組みが大切です。

この記事の監修者

写真:田原 咲世氏
田原 咲世 氏(たはら さくよ)
  • 北桜労働法務事務所 特定社会労務士
  • 株式会社北桜戦略人財研究所代表取締役社長
  • 株式会社北洋銀行 社外取締役監査等委員
プロフィール
平成6年4月、旧労働省入省。鹿児島労働局、本省、北海道労働局にて需給調整指導官等を歴任。
平成20年3月に厚生労働省を辞職、札幌に北桜労働法務事務所を開設。
行政経験を活かし、人材ビジネス分野を中心に労務全般に強い社会保険労務士としてコンサルティングを行っている。
公式HP
無料

製造業の人事・労務の最新情報をメルマガで
いち早くお届けします!

メルマガ登録をすると、過去の「労務管理Q&A」も会員専用ページにて全てご覧いただけます。
  • 人材派遣の業界ニュース、関連法案の見解
  • 労働問題のお悩みに専門家が詳しく回答
  • コンプライアンス・セミナーの開催情報