労務管理Q&A
人手不足から全国で派遣労働者数が増加しているとききました。 製造業務への派遣も増加しているのでしょうか?
ご質問内容
わが社では人手不足のため、初めて物の製造のラインに派遣労働者を受け入れることを検討しております。国内では製造業への派遣労働者の受け入れは増加していますか?技術の伝承の観点から、契約期間が過ぎるといなくなる可能性が高い派遣労働者を受け入れることに心配はないのでしょうか。
専門家からの回答
厚生労働省が発表した「労働者派遣事業の令和5年6月1日現在の状況(速報)」によれば、国内の派遣労働者数は約192万人(対前年比3.4%増)、製造業に従事した派遣労働者数は約43万人(対前年比4.1%増)で、派遣労働者の約22%が製造業務に従事しています。また、派遣受入期間の制限がない無期雇用派遣労働者も増加しています。
■ 令和5(2023)年6月1日現在の国内の派遣労働者数
厚生労働省は、令和5(2023)年6月に全国の労働者派遣事業者から提出された「労働者派遣事業報告書」のうち、同年6月1日現在における状況(速報値)をとりまとめ、令和6(2024)年3月29日に発表しました。
集計の対象となった派遣元事業所は43,735事業所(前年比1.5%増)です。
派遣労働者の実人数 ※単位:人(%)
令和4年6月1日現在 | うち、協定対象労働者 | 令和5年6月1日現在 | うち、協定対象労働者 | 対前年増減比 | うち、協定対象労働者 | |
無期雇用 | 746,661 | 710,215 | 791,293 | 758,657 | (6.0) | (6.8) |
有期雇用 | 1,114,913 | 1,032,741 | 1,133,162 | 1,056,870 | (1.6) | (2.3) |
合 計 | 1,861,574 | 1,742,956 | 1,924,455 | 1,815,527 | (3.4) | (4.2) |
令和5(2023)年6月時点の国内の派遣労働者数は約192万人です。
労働契約期間(派遣元事業主と派遣労働者との労働契約)の有無別では、有期雇用が約59%、無期雇用が約41%と、有期雇用派遣労働者の割合が高いものの無期雇用派遣労働者は前年に比べ6%増加しています。
■ 製造業務に従事した派遣労働者数
派遣労働者のうち物の製造業務に従事した数は約43万人(対前年比4.1%)で、労働契約期間の有無別では、有期雇用が約61%、無期雇用が約39%と、有期雇用派遣労働者の割合が高いものの無期雇用派遣労働者は前年に比べ6.6%増加しています。
製造業務に従事した派遣労働者の実人数 ※単位:人(%)
令和4年6月1日現在 | うち、協定対象労働者 | 令和5年6月1日現在 | うち、協定対象労働者 | 対前年増減比 | うち、協定対象労働者 | |
無期雇用 | 155,728 | 144,950 | 165,950 | 158,668 | (6.6) | (9.5) |
有期雇用 | 255,936 | 243,455 | 262,389 | 250,793 | (2.5) | (3.0) |
合 計 | 411,664 | 388,405 | 428,339 | 409,461 | (4.1) | (5.4) |
「派遣元労使協定方式」で待遇が決定される派遣労働者は、有期雇用約25万人(対前年比3%増)、無期雇用約15.8万人(対前年比9.5%)となっており、特に「派遣元労使協定方式」の適用下で製造業務に従事する無期雇用派遣労働者の伸び率が高くなっています。
「派遣先均等・均衡方式」では、派遣先の正社員等の給与水準を参考に派遣労働者の労働条件を決定するため、派遣先の給与水準によっては同種の業務に従事しても、別の派遣先で派遣就労していた時より派遣労働者の労働条件が低下することもあります。
しかし、「派遣元労使協定方式」では、同種の業務に従事する限り給与水準が一定に保たれるため、派遣先の変更があったり、派遣先事業所内で持ち場の変更があっても、無期雇用派遣労働者にとっては安心できると考えられます。
■ 無期雇用派遣労働者の積極的な活用
派遣労働者が無期雇用である場合、派遣労働者の受け入れ制限期間を考慮することなく、同じ持ち場に長期に従事することが可能となり、技術の習得が見込まれます。
あるいは計画的にジョブローテーションを取り入れ、多能工として育成することも可能になります。
また、紹介予定派遣制度(派遣労働者として6か月を限度に受け入れ、その後に派遣先で直接雇用する制度)を利用して、技術を伝承するために必要な人材を計画的に採用し育成していくことも考えられます。
フジアルテ株式会社では、「派遣元労使協定方式」により派遣労働者が定着しキャリアアップできる環境を整備し、製造業務への派遣労働者の受け入れが初めてのお客さまにも安心して選んでいただけるよう、日々、つとめております。
製造業の人事・労務の最新情報をメルマガで
いち早くお届けします!
- 人材派遣の業界ニュース、関連法案の見解
- 労働問題のお悩みに専門家が詳しく回答
- コンプライアンス・セミナーの開催情報