1. 派遣可能期間の延長に関する意見聴取について

労務管理Q&A

2021.03.29

派遣可能期間の延長に関する意見聴取について

ご質問内容

当社は以前から各事業所で派遣労働者を受け入れております。

このたび2つの事業所で事業所単位の抵触日を迎えることになりましたが、それぞれ期間延長に関する意見聴取を、抵触日の1カ月前までに行えませんでした。

  1. A事業所では派遣可能期間の延長について失念しており、過半数労働組合への意見聴取が抵触日の2週間前となってしまいました。当該派遣労働者の方に続けて勤務して頂きたい気持ちはA事業所の労働者全員の意思であり、当該派遣労働者もA事業所で続けて派遣として働きたいとの意思があるのですが、可能でしょうか?
  2. B事業所では抵触日の40日前に過半数労働組合と会合を開き、意見聴取する予定となっておりました。しかし、事業所内でコロナウィルス感染のクラスターがおきてしまい出勤等ができないことで、予定日に意見聴取を行うことができませんでした。結果、意見聴取できたのは抵触日の2週間前となりましたが、このような場合でも派遣可能期間延長はできないのでしょうか?

専門家からの回答

労働者派遣法第40条の2第3項では、「派遣先は派遣先の事業所等ごとの業務について、派遣元から3年を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けようとするときは、当該派遣先の事業所等ごとの業務について労働者派遣が開始された日から事業所単位の期間制限の抵触日の1箇月前の日までの間に過半数労働組合又は過半数代表者の意見を聴くことにより、3年以内の期間であれば派遣可能期間を延長できる。また、延長した期間が経過した場合にこれを更に延長しようとするときも、同様の手続による」旨を規定しています。

このうち、過半数労働組合又は過半数代表者の意見を聴く期間、すなわち意見聴取期間については、法律の条文で「労働者派遣が開始された日から事業所単位の期間制限の抵触日の1箇月前の日までの間」と明確に規定されていて、この間に「過半数労働組合又は過半数代表者の意見を聴くこと」により「派遣可能期間を延長できる」旨規定されていますので、法定の意見聴取期間に意見を聴いていない場合には「派遣可能期間を延長できない」ことになります。

このことは、派遣労働の利用は臨時的・一時的なものが原則であることから、その利用は3年以内が原則であることによるものであるため、その例外として認められる場合が極めて制限されていることによります。

つまり、貴社のA事業所及びB事業所の事情は理解できますが、意見聴取期間について、例えば「やむを得ない事情がある場合には、この限りではない」などという例外規定でもあれば、派遣可能期間の延長も可能になるのでしょうが、現行法にはそのような規定がない以上、A事業所、B事業所ともに派遣可能期間の延長はできないことになってしまいます。

監修:木村 大樹 氏(国際産業労働調査研究センター代表)

無料

製造業の人事・労務の最新情報をメルマガで
いち早くお届けします!

メルマガ登録をすると、過去の「労務管理Q&A」も会員専用ページにて全てご覧いただけます。
  • 人材派遣の業界ニュース、関連法案の見解
  • 労働問題のお悩みに専門家が詳しく回答
  • コンプライアンス・セミナーの開催情報