1. 派遣労働者の離職後1年以内の再受け入れ禁止は別の工場でも同じ?禁止の範囲と理由、罰則について

労務管理Q&A

2021.01.22

派遣労働者の離職後1年以内の再受け入れ禁止は別の工場でも同じ?禁止の範囲と理由、罰則について

ご質問内容

当社は製造業を営んでおり、自社で期間労働者を雇用していますが、人手が不足しているため、今回派遣労働者の受け入れを開始しました。
先日、班長より、当社を半年前に退職した方が、新たに派遣労働者として当社へ派遣されてきている方がいるという報告がありました。
このまま放置していると当社は何か罰せられるのでしょうか?
また別の工場でも派遣労働者の受け入れをしているので、そちらを案内することも可能ですが、案内しても問題ないでしょうか?

専門家からの回答

派遣先は、労働者派遣を受け入れようとする場合に、60歳以上の定年退職者を除き、派遣労働者がその派遣先を離職して1年以内であるときは、その派遣労働者を受け入れてはなりません(労働者派遣法第40条の9第1項)。

また派遣先は、同項の規定に抵触する派遣労働者を受け入れることになるときは、速やかに、その旨を派遣元事業主に通知しなければなりません(同条第2項)。

さらに派遣元も、労働者派遣をしようとする場合に上記の規定に抵触するときは、その派遣労働者の派遣を行ってはなりません(同法第35条の5)。

このように離職後1年以内の労働者の派遣を禁止しているのは、労働者派遣事業は常用雇用の代替防止を前提としているので、ある企業を離職した労働者をその企業で派遣労働者として受け入れることは、法の趣旨から適当ではないということによるものです。

ここでいう「派遣先」は事業主単位ですので、ある会社のA事業所を離職した後1年を経過しない労働者を同じ会社のB事業所へ派遣することも禁止の対象となります。また、ここでいう「労働者」は正社員に限らず、非正規労働者も含まれます。

離職して1年を経過していない労働者を派遣労働者として受け入れた派遣先に対しては、都道府県労働局から指導助言が行われます(同法第48条第1項)。

また、その指導助言にもかかわらず、なお違反している場合には、是正措置をとるよう勧告が行われます(同法第49条の2第1項)。

さらに、その勧告に従わなかったときは、企業名の公表が行われます(同条第2項)。

ご質問のケースでは、貴社を半年前に退職した者を派遣労働者として貴社が受け入れているということですので、法違反となり、上記の指導助言、是正勧告、企業名の公表の対象となります。

また、「派遣先」は事業主単位ですので、貴社を半年前に退職した者を貴社の別の事業所に案内して派遣労働者として受け入れても法違反となり、上記の指導助言、是正勧告、企業名の公表の対象となります。

監修:木村 大樹 氏(国際産業労働調査研究センター代表)

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