労務管理Q&A
中途退職した元社員の再雇用制度を整えたいと考えています。 直接雇用ではなく派遣労働者として受け入れることに問題はないでしょうか。
ご質問内容
中途退職した元社員の再雇用制度を整えたいと考えています。 直接雇用ではなく派遣労働者として受け入れることに問題はないでしょうか。
専門家からの回答
人手不足の折、中途退職時に「また都合があえば再就職したい」と希望する離職者を会社で把握しておく「OB・OG会」が流行しています。わが社の業務を熟知しており、迎える職場もかつての同僚なら安心できるメリットがあります。ただし、派遣労働者として迎え入れる際には、離職後1年以内の期間に制限があるので注意が必要です。
OB・OG人材の再雇用メリット
配偶者の転勤への帯同や家族の介護など、自身には何の問題もないものの中途で退職せざるを得ない社員が発生した場合、とても残念な気持ちになります。
惜しまれて退職したかつての社員が、再び働くことができる事情になったのであれば、即戦力となり得るのでぜひとも再雇用したいところです。
人手不足の折、このようなOB・OG人材を組織化し、いわば「同窓会」のように定期的に連絡を取り合えるしくみを導入する企業が増えています。
社員として再雇用することができる組織もあれば、人事の都合上それがかなわないこともあります。
また、再就職する労働者側にも、「転勤はできない」「仕事と通院治療との両立が必要」など、以前にはなかった制約があることも考えられます。
そのような場合、派遣労働者として迎え入れ、労働条件の調整や最近の業務への習熟などを勘案して、条件が整った場合に再び社員化するという方法も考えられます。
離職後1年以内に派遣労働者としての受入は注意
ところで、労働者派遣法第40条の9では、派遣先に対して、当該派遣先を離職したかつての労働者を、新たに派遣労働者として受け入れることに制限を設けています。
(離職した労働者についての労働者派遣の役務の提供の受入れの禁止)
第40条の9 派遣先は、労働者派遣の役務の提供を受けようとする場合において、当該労働者派遣に係る派遣労働者が当該派遣先を離職した者であるときは、当該離職の日から起算して1年を経過する日までの間は、当該派遣労働者(雇用の機会の確保が特に困難であり、その雇用の継続等を図る必要があると認められる者として厚生労働省令で定める者を除く。)に係る労働者派遣の役務の提供を受けてはならない。
この条文では、派遣先に次のようなことを求めています。
- A社は労働者Bさんを社員として雇用していましたが、ある時、Bさんは退職しました。
- 退職後、Bさんは派遣会社に登録しました。
- A社は派遣会社に労働者派遣の依頼をしたところ、Bさんが派遣労働者として派遣就労することになりました。
- この時、Bさんは離職後1年以内はA社を派遣先として派遣就労することができません。この場合、Bさんがもと勤務していた支店や営業所だけではなく、A社という法人全体に対して離職後1年以内の派遣就労制限が設けられています。
なぜ、このような制限が設けられているのでしょうか。
例えば社内結婚し、夫婦の一方が同居できない事業所へ異動したとしましょう。
このため夫婦のうちいずれかが退職し、派遣会社に登録して派遣労働者として同社に派遣就労するようなケースでは、労働力の需要があり離職した本人の能力を必要としているのであれば、正社員でなくても何らかの形で雇用を維持することが適切であると、行政は考えているからです。
なお、Bさんが60歳以上の定年によって退職した場合は、この条文の制度は適用除外となりますので、離職後1年以内であっても、もとの職場へ派遣労働者として派遣就労するこができます。
再雇用の方法は柔軟に
前記で説明したように派遣労働者として再度活躍いただく方法もありますが、単発的な需要に対して日雇い契約を含めたスポット的な雇用という方法も有効です。
現在、いわゆるスキマバイトをする人が増えていますが、全く知らない求職者を当日雇用したところ、ミスマッチだったということもあります。
その点、OB・OG人材を組織化しておけば「特定の日だけの求人」の情報をメンバーに提供し、わが社を熟知した求職者を雇用できるので安心です。
OB・OG人材だけでは人数が足りない場合は、職業紹介事業の許可を持つ人材会社を通じて、同業界の経験者を紹介してもらい短期雇用することも考えられます。
ご縁があった人材の再雇用についてご関心のある方は、ぜひ当社のお問合せフォームよりご相談ください。
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