1. 派遣労働者の候補者が派遣就業前に職場の見学を希望しています。派遣先として職場見学を受け入れる際の注意はありますか。

労務管理Q&A

2026.01.13

派遣労働者の候補者が派遣就業前に職場の見学を希望しています。派遣先として職場見学を受け入れる際の注意はありますか。

ご質問内容

派遣労働者の候補者が派遣就業前に職場の見学を希望しています。
派遣先として職場見学を受け入れる際の注意はありますか。

専門家からの回答

新卒求人においては、学生を対象に会社見学会が設けられることが多くなっています。派遣労働者になるため派遣求人に応募した人も「実際の仕事の内容を確認したい」「職場の雰囲気を知りたい」と思う人は多いでしょう。労働者派遣法では「派遣先による派遣労働者の特定を目的とする行為」を制限していますので、この定めに抵触しないように、適切に見学を受け入れる必要があります。

なぜ派遣先が派遣労働者を特定できないのか

労働者派遣法第26条第6項では、以下のような定めがあります。

労働者派遣法第26条第6項
労働者派遣(紹介予定派遣を除く。)の役務の提供を受けようとする者は、労働者派遣契約の締結に際し、当該労働者派遣契約に基づく労働者派遣に係る派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないように努めなければならない。

これは、職業安定法第44条で禁止されている労働者供給事業(雇用関係が不明であるものの事実上の支配下にある労働者を他人にあっせんする行為)を防止するために設けられている制限です。

戦前は公共職業安定所が存在しなかったため、求人事業主に求職者を斡旋し対価を得るビジネスが行われていました。そこでは、労働者がけがをしても雇用関係がはっきりしないため、労働者に治療費や休職中の生活費が補償されることもなく労働者の福祉が損なわれるケースもありました。

昭和60年に成立した労働者派遣法では、労働者の権利を確立し福祉が損なわれないように「派遣元事業主が派遣労働者を雇用し賃金を支払う」「派遣先は派遣労働者とは指揮命令関係にあり、雇用関係ではない」ことが定義されました。

このため、派遣先は、派遣労働者との労働契約の当事者ではなく、派遣元事業主(派遣会社)が誰と労働契約を締結するかについては第三者の立場となったのです。

「派遣先が講ずべき措置に指針」(平成11年労働省告示第138号)では、次のような行為が「派遣労働者を特定することを目的とする行為」として例示されています。

  • 労働者派遣に先立って面接すること
  • 派遣先に対して当該労働者に係る履歴書を送付させること
  • 若年者に限るなど派遣労働者の性別や年齢等を限定すること

派遣労働者となろうとする者も派遣先を知りたいと考えている

派遣労働者となろうとする側にも、「応募を考えている派遣先はどんな職場か」「実際に従事することになる仕事は、自分にあっているのか」について不安がありますので、派遣先となる職場の見学を希望するケースは多くなっています。

前出の指針では「派遣労働者又は派遣労働者となろうとする者が、自らの判断の下に派遣就業開始前の事業所訪問若しくは履歴書の送付又は派遣就業期間中の履歴書の送付を行うことは、派遣先によって派遣労働者を特定することを目的とする行為が行われたことには該当せず実施可能である」と定めていますから、派遣労働者の候補者の希望によって派遣先の職場見学をすることはさしつかえありません。

派遣先は、「派遣労働者を指名するための面接の機会ではない」ことを理解した上で、派遣労働者となろうとする者に、職場の環境や雰囲気を体感いただく場として職場見学の機会を設けることができます。

また、質問に応じて派遣先企業の事業内容や、派遣就労した際の具体的な仕事の内容、求められるスキル等を説明することもできますので、派遣就労開始後に派遣労働者が「思っていたのと違う」と早期離職するようなミスマッチも防止できます。

ミスマッチを防止し定着率をアップさせる職場見学を

派遣労働者の候補者を職場見学に受け入れる際は、ミスマッチを未然に防止し、派遣労働者側にも派遣先にもメリットがあるよう工夫が求められます。

よくある職場見学の内容

  • 派遣先による、派遣先の所属する業界や事業内容の説明。派遣先によっては会社案内のピーアール動画の視聴もあります。
  • 派遣先による、実際に派遣就労した際に従事する業務の内容、必要なスキルや求められる水準の説明。
  • 派遣先の職場見学(トイレや休憩室なども派遣労働者の候補者が関心を寄せる施設なので勤務場所以外も案内できることが望ましいです)。
  • 派遣就労中の先輩スタッフとのコミュニケーション(既に派遣就労しているスタッフと会話いただくことで、派遣労働者の候補者も自分が派遣就労した際のイメージがつかみやすいです)。
  • 質疑応答。

フジアルテ株式会社では、派遣労働者のミスマッチを防止し定着率が向上するような職場見学の実施をこころがけています。
ご関心のある方はお問い合わせフォームよりお気軽におたずねください。

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