労務管理Q&A
派遣労働者の待遇を労使協定方式で決定している場合 派遣労働者の昇給制度はどのようになっていますか?
ご質問内容
新年度に向けて、派遣会社と派遣先とで、派遣料金についての相談が行われています。人手不足から派遣労働者の賃金額をアップすることに伴う派遣料金見直しの動きが強まっています。労使協定方式で派遣労働者の待遇を決める場合、初任給や昇給などは、どのように行われているのでしょうか。
専門家からの回答
厚生労働省が、令和7年6月に提出された事業報告書からサンプル(約400社)を抽出して実施した調査では、より高度な能力が求められる派遣先業務への派遣就労による賃金の改善、同じ派遣先であっても昇給する、手当を支給するなど様々な方法で派遣労働者の待遇改善が行われているようです。
待遇決定方式
派遣労働者の待遇は、雇用している派遣元事業主(派遣会社)が決定します。
労働者派遣法では、派遣元事業所ごとに「派遣先均等・均衡方式」「派遣元労使協定方式」のいずれかにより派遣労働者の待遇を決定するよう求めています。
厚生労働省の調査では、労使協定方式を採用する派遣元事業所が多くなっています。
| 派遣元労使協定方式 | 派遣先均等・均衡方式 | 併 用 | |
| 令和7年 | 87.4% | 9.9% | 2.6% |
| 令和6年 | 90.5% | 7.7% | 1.8% |
通勤手当の支給方法
通勤手当は実費支給が圧倒的に多くなっています。
特に公共交通機関から離れたエリアへの通勤は自家用車通勤となるため、ガソリン代高騰を受けて「通勤手当」として「見える化」された求人内容に応募が集まる傾向です。
| 通勤手当
(実費支給) |
通勤手当
(定額支給) |
基本時給に
73円上乗せ |
その他 | |
| 令和7年 | 95.5% | 1.5% | 2.6% | 0.4% |
| 令和6年 | 94.4% | 1.3% | 3.0% | 1.3% |
退職手当の支給方法
通勤手当は実費支給が圧倒的に多くなっています。
特に公共交通機関から離れたエリアへの通勤は自家用車通勤となるため、ガソリン代高騰を受けて「通勤手当」として「見える化」された求人内容に応募が集まる傾向です。
| 通勤手当
(実費支給) |
通勤手当
(定額支給) |
基本時給に
73円上乗せ |
その他 | |
| 令和7年 | 95.5% | 1.5% | 2.6% | 0.4% |
| 令和6年 | 94.4% | 1.3% | 3.0% | 1.3% |
退職手当の支給方法
労使協定方式で待遇を決定する場合は、派遣元に雇用される正社員に退職金制度がなくても、派遣労働者には退職手当に相当する賃金を支払う義務があります。
退職手当に相当する賃金の支払い方は、「退職一時金(退職時に一時金として支払う)」「時給に決められた率で計算した額を上乗せ」「中小企業退職金共済制度を利用」のいずれ
かより選択することになっています。退職一時金式が若干増加傾向であり、「時給上乗せによる賃金上昇を避ける目的もある」と推測されます。
| 退職一時金式 | 時給に上乗せ | 中退共加入 | その他 | |
| 令和7年 | 29.4% | 55.4% | 6.3% | 8.9% |
| 令和6年 | 24.3% | 63.5% | 6.0% | 6.3% |
0年目(初任給)の賃金水準
労使協定方式により派遣労働者の0年目(初任給)の賃金を設定したときの、実際の職種別の賃金水準は以下のとおりです。この統計では、例えば「1,000円~1,200円」と協定していた場合は、下限額1,000円により作成しています。
労使協定の初任給下限値がいずれも一般賃金水準(統計上の地域別職種別賃金水準)より高くなっており(一般賃金水準との差額の平均値欄)、人手不足を背景に派遣労働者の雇入れ直後の待遇改善がすすんでいることが推測されます。
| 職業分類 | 労使協定0年目賃金の記載状況 | |||
| 平均値 | 最高値 | 中央値 | 一般賃金との
差額の平均値 |
|
| 34 一般事務・秘書・受付 | 1,120円 | 1,511円 | 1,088円 | +19 |
| 71 金属・機械製品等の
製品製造・加工処理 |
1,168円 | 1,689円 | 1,161円 | +17 |
| 10 情報処理・通信技術者
(ソフトウェア開発関係) |
1,495円 | 1,921円 | 1,429円 | +69 |
賃金の改善(法第30条の4第1項第2号ロ)に係る記載内容
労働者派遣法第30条の4第1項第2号ロでは、派遣労働者の経験が蓄積されたり能力の向上がみられた場合は待遇の改善を行う旨を労使協定に定めることを義務づけています。
改善の方法としては、「より高度な能力が求められる(より高額な賃金が支払われる)就業機会の提供」ほか「(同じ業務でも)昇給」「基本給とは別の手当支給」など複数を組み合わせている傾向となりました。
| 高度な就業機会 | 昇給 | 別手当支給 | その他 | |
| 割合(%) | 72.1% | 60.2% | 35.3% | 3.3% |
※協定記載内容を複数選択
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