1. 「同一労働同一賃金ガイドライン」が改正されました。 派遣先として受け入れた派遣労働者の待遇にも影響があるのでしょうか。

労務管理Q&A

「同一労働同一賃金ガイドライン」が改正されました。 派遣先として受け入れた派遣労働者の待遇にも影響があるのでしょうか。

ご質問内容

「同一労働同一賃金ガイドライン」が改正されました。派遣先として受け入れた派遣労働者の待遇にも影響があるのでしょうか。

専門家からの回答

短時間・有期雇用労働法第8条・第9条では、「短時間労働者」「有期雇用労働者」の待遇と通常の労働者(いわゆる正社員など)との待遇に相違がある場合、その相違が「不合理であってはならない」と定めています。「不合理かどうか」の考え方と事例を示したものが「同一労働同一賃金ガイドライン」です。同ガイドラインは、派遣労働者の待遇の決定についても考え方と事例を示しています。

雇用区分別ガイドラインの適用

「同一労働同一賃金ガイドライン」(以下「ガイドライン」と表記)は、大きく分けて以下の3つの雇用区分について整理されています。

派遣労働者は、「派遣先均等・均衡方式」「派遣元労使協定方式」のいずれによって待遇を決定するかによりガイドラインの適用内容が異なります。

派遣先均等・均衡待遇方式の派遣労働者

「派遣先均等・均衡方式」によって待遇を決定する派遣労働者を受け入れる場合は、派遣先の比較対象労働者と全ての待遇について比較します。

比較対象労働者とは、派遣先で雇用される労働者であって、「業務の内容および業務に伴う責任の程度(まとめて「職務の内容」という)」と「職務の内容および配置の変更の範囲」が、受け入れた派遣労働者と同一または類似している労働者のことを指します。

派遣先は、比較対象労働者の待遇情報(賃金や適用されている福利厚生制度いっさい)を、労働者派遣契約を締結するにあたり派遣元事業主に通知しなければなりません。

派遣元事業主は、派遣先から提供された情報をもとに、派遣労働者の待遇を「不合理な相違」がないように決定することになります。

ただし、派遣先の施設(休憩室、更衣室、社員食堂)の便宜の供与は、受け入れている派遣先が実施する義務があります。

派遣元労使協定方式の派遣労働者

「派遣元労使協定方式」によって待遇を決定する派遣労働者を受け入れる場合は、賃金に関する待遇がすべて労使協定によって決定されているため、派遣先で雇用される労働者と比較されることはありません。

賃金は、毎年8月頃に職業安定局長が「職業別の賃金水準」を通達しますので、派遣元事業主はこの通達の水準を下回らない賃金を労働者に提案し、労使協定の締結によって年度ごとの賃金(基本給、通勤手当、退職金)その他の待遇を決定します。

賃金以外の待遇では、派遣先の施設(休憩室、更衣室、社員食堂)の便宜の供与は、受け入れている派遣先が実施する義務があります。

正社員ではない無期雇用フルタイムの問題

ところで、短時間・有期雇用労働法は「短時間労働者」「有期雇用労働者」を対象とした法律です。正社員ではない無期雇用フルタイムの働き方をする労働者は、この法律の適用を受けず、ガイドラインも関係がないのでしょうか。

実は、「正社員と、正社員ではない無期雇用フルタイム」との待遇の相違が「不合理である」として、賞与の差額や住宅手当の支給を命じた裁判例があります(令和7年9月11日仙台高裁。最高裁上告不受理につき令和8年4月15日確定)。

この裁判では、「無期雇用フルタイムの正社員以外の労働者にも、均等・均衡処遇のルールがおよぶことが令和2(2020)年4月1日以降に公序として確立した」と判断しています。これは、旧労働契約法第20条から、短時間・有期雇用労働法第8条・第9条へと「不合理な相違の禁止」を定める条文が移行した時期と一致します。

今後、正社員であっても「勤務地限定社員」「総合職社員」など雇用区分の相違によって待遇が異なる場合は、「不合理か否か」を問う裁判が発生し得る時代になりました。

当社では、9月4日に「改正同一労働同一賃金ガイドライン」をテーマとしたセミナーを予定しており、当該裁判例も解説いたします。セミナーの詳細につきましては、後日改めて弊社コーポレートサイトおよびメールマガジン等を通じてご案内させていただきます。

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同一労働同一賃金特集ページ |厚生労働省

この記事の監修者

写真:田原 咲世氏
田原 咲世 氏(たはら さくよ)
  • 北桜労働法務事務所 特定社会労務士
  • 株式会社北桜戦略人財研究所代表取締役社長
  • 株式会社北洋銀行 社外取締役監査等委員
プロフィール
平成6年4月、旧労働省入省。鹿児島労働局、本省、北海道労働局にて需給調整指導官等を歴任。
平成20年3月に厚生労働省を辞職、札幌に北桜労働法務事務所を開設。
行政経験を活かし、人材ビジネス分野を中心に労務全般に強い社会保険労務士としてコンサルティングを行っている。
公式HP
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