1. 36協定の適用における年度の途中で事業所を異動したケースについて

労務管理Q&A

2019.07.31

36協定の適用における年度の途中で事業所を異動したケースについて

ご質問内容

36協定において、年度の途中で事業所を異動したケースについての質問です。

例えば、36協定の有効期間が4月~3月迄の会社で、ある労働者が4月~9月は大阪の工場勤務で転勤となり、10月~3月は愛知県の工場で就業することになった場合、36協定における特別条項のカウントは、大阪の工場で就業していた期間と愛知県で就業していた期間は通算して計算するのでしょうか?

また今年度から施行された、2ヶ月~6か月平均80時間以内についても同じ考え方でよろしいでしょうか?

専門家からの回答

労働基準法第36条第1項は「使用者は、当該事業場に、・・・書面による協定をし、・・・届け出た場合においては、・・・その協定で定めるところによって労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる」旨規定していますので、36協定の締結そのものは事業所単位で締結するのが原則です。

このため、ご質問のケースの場合には、大阪の工場も、愛知県の工場も、原則としてそれぞれごとに36協定を締結しなければならず、それぞれの36協定の内容は同条各項の規定に適合したものでなければなりません。

特別条項については、同条第5項の要件を満たすとともに、同条第6項第3号の規定により、「対象期間の初日から1箇月ごとに区分した各期間に当該各期間の直前の1箇月、2箇月、3箇月、4箇月及び5箇月の期間を加えたそれぞれの期間における労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の1箇月当たりの平均時間が80時間を超えない」ようにする必要があります。

一方、36協定の対象期間の中途で複数の事業所間で転勤する労働者に対する36協定の適用に当たっては、同法第38条第1項は「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」と規定しています。

このため、ご質問の大阪の工場で就業していた期間における労働時間と愛知県で就業していた期間における労働時間は通算して計算しなければなりません。

また、ご質問の同法第36条第6項第3号に規定された「2箇月~6箇月の時間外・休日労働時間の1箇月当たりの平均時間が80時間を超えない」とする規定の適用に当たっても、同様に大阪の工場で就業していた期間における労働時間と愛知県で就業していた期間における労働時間を通算して計算しなければなりません。

監修:木村 大樹 氏(国際産業労働調査研究センター代表)

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