労務管理Q&A
2022年 4月から中小企業にもパワハラ防止の措置を講ずることが義務化されるが具体的に何をすればよいのか
ご質問内容
既に大企業では義務化されていますが、2022年4月 1日から中小企業でもパワーハラスメント(以下「パワハラ」 防止の措置を講ずることが義務化されます。具体的にどんな準備をすればよいのでしょうか。
また、 派遣労働者からの相談 があった場合、派遣先あるいは派遣元事業主のいずれが対応すべきでしょうか。
専門家からの回答
職場でのパワハラ防止については、労働施策総合推進法※注1の第9章(第30条の2~第30条の8)で定められています。
具体的には、パワハラ防止ガイドライン※注2で事業主が講じなければならない措置を定めていますので、ガイドラインにそって準備をすすめるとよいでしょう。
※注1 正式名称「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」(昭和41年法律第132号)
※注2 正式名称「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和2年1月15日厚生労働省告示第5号)
パワハラの定義
この法律が定められるまでは、わが国にパワハラを定義した法律は存在せず、パワハラをめぐる裁判の結果判例における表現が引用されていました。
今回、労働施策総合推進法でのパワハラの定義は以下のようになっています 。
職場において行われる
①優越的な関係を背景とした※言動であって、
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
③労働者の就業環境が害されるものであり、
①~③ までの要素を全て満たすものをいいます。
※「優越的な関係を背景とした」とは、業務を遂行するにあたって、言動を受ける労働者が、言動の行為者に対して拒絶または抵抗できない蓋然性(がいぜんせい→ ある物事が実現する又は真実である確実性)が高い関係を背景としていることをさします。
各ハラスメント共通の「やるべきこと10」
パワハラ防止ガイドラインは、これまで法制化されてきたセクハラやマタハラと共通の内容になっています。これをを機に全ハラスメント対策をいっそう充実させてください。
セクハラ | マタハラ | 育介ハラスメント | パワハラ | |
根拠法 |
男女雇用機会均等法 |
男女雇用機会均等法 |
育児・介護休業法 |
労働施策総合推進法 |
事業主が 講ずべき措置 |
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事業主の方針等の明確化及びその周知啓発 |
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相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備 |
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職場における各ハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応 |
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そのほか併せて講ずべき措置 |
労働者派遣法第47条の2、第47条の3、第47条の4では、上記の4つのハラスメントについて「派遣元事業主および派遣先を同時に事業主とみなして法令を適用する」と定めていますから、派遣労働者にも相談窓口やホットラインについて周知をしておきましょう。
解決までは、相談の秘密に配慮しながら、派遣先責任者と派遣元責任者とが連携して対応してください。
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