労務管理Q&A
製造業務専門派遣先責任者とは何ですか? 普通の派遣先責任者とは何が違うのでしょうか
ご質問内容
物の製造の業務に派遣労働者を受け入れる際に、製造業務専門派遣先責任者を選任することが必要だとききました。普通の派遣先責任者とは何が違うのですか。
また、なぜ製造業だけこのような特別の派遣先責任者の選任が求められるのですか。
専門家からの回答
物の製造の業務に50人を超える派遣労働者を受け入れる場合は、製造業務専門派遣先責任者の選任が必要です。
製造業は、業務上の傷病により4日以上休業する事故の発生が他業種に比して多いため、普通の派遣先責任者と区別して物の製造の業務に特化した派遣先責任者の選任が義務となっています。
物の製造の業務とは
「物の溶融、鋳造、加工、組立て、洗浄、塗装、運搬等物を製造する工程における作業に係る業務」と定義されています。上記の「溶融、鋳造、加工、組立て、洗浄、塗装、運搬等」は例示であって、それ以外はあてはまらないということではありません。「物を製造する工程における作業に係る業務」は全て「物の製造の業務」に含まれますので、例えば製品完成までの過程にある検品なども該当します。
完成した製品をラインから倉庫へ移動させ、後に出荷のために梱包したりシール貼付する行為は、製造の工程を終えた後なので「物の製造の業務」ではありません。
製造業務専門派遣先責任者の趣旨
派遣先は、受け入れた派遣労働者の就業管理を一元的に行う「派遣先責任者」を選任しなければなりません(労働者派遣法第41条)。
派遣先責任者の選任においては、特別な資格等は求められていませんが、『派遣先が講ずべき措置に関する指針』において、「労働関係法令に関する知識を有する者であること、 人事・労務管理等について専門的な知識又は相当期間の経験を有する者であること、派遣労働者の就業に係る事項に関する一定の決定、変更を行い得る権限を有する者であること等」の選任に努めるよう求められています。
物の製造の業務においては、派遣先責任者とは別に、製造業務専門派遣先責任者の選任が求められます。
製造業務専門派遣先責任者の人数
製造業務専門派遣先責任者の選任人数は、次のように定められています。
物の製造の業務に受け入れる派遣労働者数 | 選任すべき派遣先責任者の数 |
~50人以下 | 選任不要 |
50人超~100人以下 | 1人 |
100人超~200人以下 | 2人 |
200人超~300人以下 | 3人 |
以降、100人を単位として1人追加 |
物の製造の業務に受け入れる派遣労働者が50人以下の場合は、製造業務専門派遣先責任者の選任は不要ですが、普通の派遣先責任者の選任は必要なので注意して下さい。
製造業務専門派遣先責任者と普通の派遣先責任者の兼任
また、複数の製造業務専門派遣先責任者が選任されている場合は、1人のみ普通の派遣先責任者と製造業務専門派遣先責任者を兼任することができます。派遣先責任者1人につき派遣労働者100人を担当することができますので、兼任する場合も合計100人以内の派遣労働者を担当するよう注意しなければなりません。
(例1)物の製造の業務に40人、それ以外の業務に260人、合計300人の派遣労働者を受け入れている場合。
(例2)物の製造の業務に150人、それ以外の業務に150人、合計300人の派遣労働者を受け入れている場合。
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