1. 新しく「化学物質管理強化月間」が設けられるとききました。 化学工場以外でも労働基準監督署の調査が強化される可能性がありますか?

労務管理Q&A

2024.07.18

新しく「化学物質管理強化月間」が設けられるとききました。 化学工場以外でも労働基準監督署の調査が強化される可能性がありますか?

ご質問内容

化学物質に関する規制がどんどんすすんでいます。
令和8(2026)年4月までに、新たに規制の対象となる化学物質が約3,000予定されているとききました。
わが社は化学製品の製造には関係ありませんが、労働基準監督署の調査の対象になる可能性はあるでしょうか。

専門家からの回答

厚生労働省は、各事業者が自らの事業で使用する化学物質についてリスクアセスメントを実施し、ばく露防止の措置を自律的に講ずべきと定めた制度を令和6(2024)年4月に施行しました。さらに「化学物質管理強化月間」を創設し、環境省と連携してライフサイクル(製造から廃棄まで)を通じた化学物質の管理強化について啓発を強めていく方針です。

化学物質による労災最多は食料品製造業、原因は洗剤・洗浄剤

化学物質(有害物質)との接触による労働災害は、過去3年間(令和元年~令和3年)に1,229件発生しています。
化学工業や金属製品製造業ではなく、意外な業種で被災件数が多くなっています。また、洗剤や消毒液による被災など、身近な化学物質が原因となっています。

業種別化学物質(有害物質)との接触による労働災害発生件数

業  種 発生件数(件)
食料品製造業 162
小売店・飲食店 134
化学工業 119
清掃・と畜業 97
金属製品製造業 88

製品等別労働災害発生件数

原因製品等 発生件数(件)
洗剤・洗浄剤 371
ガス 135
消毒・除菌・殺菌・漂白 108

業種別災害事例

〇 食品製造業

フライヤーの油洗浄をするため、薬品をスポンジに染みこませてこすって汚れを落とす作業をしていたところ、手袋のみ着用にてアームカバーをつけていなかったため、薬品が袖口から腕に伝わり火傷した。

〇 化学工業

エポキシ棟内での、ドラムを持ち上げて原料を小分け計量する作業で、ドラム缶のふたを閉める際に、原料がこぼれて左足甲部に付着し薬傷を負った。

〇 金属製品製造業

作業場での作業終了後に、電解脱脂槽(強アルカリ)の縁でフックハンガー調整中、足が滑り電解脱脂槽に左足が落ち火傷した。

〇 飲食店

厨房のダクト清掃作業において、ダクト天井に業務用洗剤を噴霧していたところ、天井から洗剤の滴がたれ落ちて、直接左目に入り角膜剥離となった。ゴーグルの着用が徹底されていなかった。

令和7(2025)年2月「化学物質管理強化月間」創設

現在、国内で使用されている化学物質は数万種類にのぼり、化学物質による労働災害のうち、特定化学物質障害予防規則等の規制対象になっていない物質によるものが約8割を占めています(厚生労働省発表)。

化学物質は年々増加するため、厚生労働省は事業者に対して、化学物質の危険性・有害性の分類(GHS分類)で「危険・有害」とされている物質を事業で扱う場合は、事業者がリスクアセスメントを実施し、ばく露防止のための措置を自ら適切に実施すること(自律的管理)を求める新たな規制を導入し、本年4月から施行しています。

今後、零細企業にもこの取組を浸透させ、多様な分野(環境、経済、社会、保健、農業、労働)において連携して化学物質管理がもとめられると考えられ、厚生労働省は環境省と連携し、毎年2月を「化学物質管理強化月間」とすることを決定しました。

今後、2月を中心に幅広く化学物質管理活動の定着を図る取組が実施される見込みです。

化学物質に関する疑問や困り事は、フジアルテの営業担当にお問い合わせ下さい。

無料

製造業の人事・労務の最新情報をメルマガで
いち早くお届けします!

メルマガ登録をすると、過去の「労務管理Q&A」も会員専用ページにて全てご覧いただけます。
  • 人材派遣の業界ニュース、関連法案の見解
  • 労働問題のお悩みに専門家が詳しく回答
  • コンプライアンス・セミナーの開催情報