1. 福利厚生施設の利用と費用負担において、派遣社員と正社員で取り扱いが異なるのは違法?

労務管理Q&A

2021.02.18

福利厚生施設の利用と費用負担において、派遣社員と正社員で取り扱いが異なるのは違法?

ご質問内容

当社は現在数名の派遣労働者を受け入れています。法第40条第3項の福利厚生施設において、利用の機会を与えなければならないとされている通り、当社へ派遣された派遣労働者へも各施設の利用を認めています。
しかし、当社の通常労働者(正社員)へは福利厚生の一環として、給食料金の半額を会社が負担していますが、派遣労働者へはその負担を行っていません。
この対応について問題はありますか?

専門家からの回答

労働者派遣法第40条第3項は「派遣先は、当該派遣先に雇用される労働者に対して利用の機会を与える福利厚生施設のうち、給食施設、休憩室、更衣室については、その指揮命令の下に労働させる派遣労働者に対しても、利用の機会を与えなければならない」旨、規定しています。

貴社においては、これらの福利厚生施設について、派遣労働者に対しても利用の機会を与えている訳ですから、労働者派遣法第40条第3項に違反することはないと考えます。

ただし、労働者派遣事業関係業務取扱要領という厚生労働省の通達があり、これに基づいて労働局では行政指導を行っていますが、その要領の労働者派遣法第40条第3項に関する部分に、同項の趣旨について「食堂、休憩室、更衣室は、業務の円滑な遂行に資する施設であり、派遣労働者と派遣先の労働者で別の取扱いをすることは適当でないことから、同様の取扱いをする義務を派遣先に課すこととしたものである」と記載しています。

この中の「派遣労働者と派遣先の労働者で別の取扱いをすることは適当でない」とする記載を強調する考え方に立てば、貴社の通常の労働者に対して給食料金の半額を貴社が負担しているのに対し、派遣労働者に対してはその負担していないことは派遣労働者と派遣先の労働者で別の取扱いをしていることになりますので、同項の規定の趣旨に沿わないという指摘もあり得ると考えられます。

このため、お尋ねの貴社の取扱いは、労働者派遣法第40条第3項に違反することはないものの、労働者派遣事業関係業務取扱要領の記載を根拠として行政指導が全く行われることはないとは言い切れないと考えます。

監修:木村 大樹 氏(国際産業労働調査研究センター代表)

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