労務管理Q&A
派遣先が同一の派遣労働者を長期に受け入れていると、 直接雇用しなければならない義務があると聞きましたが本当ですか?
ご質問内容
わが社は派遣労働者を受け入れています。先日、派遣会社から「同一の派遣労働者を長期に受け入れていると、求人の際には派遣労働者も直接雇用の対象にしてください」との連絡がありました。わが社は現在、新卒総合職のみ募集しているのですが、派遣労働者にも応募の意思確認をしなければならないのでしょうか。
専門家からの回答
労働者派遣法では、派遣先で受け入れている派遣労働者の直接雇用を促進する定めがあります。受け入れている派遣労働者の属性と、派遣先がこれから行う求人の内容によっては、派遣労働者に応募の門戸をひらく努力義務または義務があります。
派遣労働者の直接雇用の促進
労働者派遣法第40条の4および第40条の5では、派遣先が派遣先で直接雇用する労働者の募集をする際に、一定の用件を満たす派遣労働者にも、応募の機会を設ける等の対応をしなければならない旨を定めています。
派遣先による派遣労働者の直接雇用の促進には、以下の3種類があります。
| どんなときに | 何をしなければならない | |
| イ | ・同一の派遣労働者(60歳未満有期雇用に限る)を ・同一の組織単位で継続して1年以上受け入れ・その組織単位に派遣先で直接雇用する労働者を配置するためこれから求人しようとするときであって ・かつ派遣元から直接雇用の依頼があったとき |
当該派遣労働者を遅滞なく直接雇用するよう努めなければならない。 (努力義務) |
| ロ | ・同一の派遣労働者(60歳未満有期雇用に限る)を ・同一の組織単位で継続して3年間受け入れる見込みがあり・かつ派遣元から直接雇用の依頼があったとき |
当該派遣先事業所におけるあらゆる求人情報(正社員/非正規社員不問)を当該派遣労働者に周知しなければならない。(義務) |
| ハ | ・同一の派遣労働者(年齢/有期無期不問)を ・同一の派遣先事業所(組織単位が同一でなくてもよい)で継続して1年以上受け入れ・当該派遣先事業所で正社員を募集するとき |
当該正社員募集内容を、当該派遣労働者に周知しなければならない。(義務) |
特定有期雇用派遣労働者への対応
有期雇用かつ60歳未満の派遣労働者で、同一阻止式単位に継続して1年以上派遣就労している派遣労働者を特定有期雇用派遣労働者といいます。
労働者派遣法では、派遣労働者個人単位の抵触日(組織単位ごとの抵触日)が設けられているため、例外となる場合を除いて引き続き同一の組織単位で3年間を超えて派遣就労することができません。
このため、特定有期雇用派遣労働者の雇用の安定を目的として、派遣先に直接雇用を促進する定めを設けています。
優先雇用の努力義務(表イ)
前出の表のイでは、派遣先がこれから労働者を雇用して、派遣労働者を受け入れている組織単位に配置することを予定しているのであれば、既に1年間派遣就業している特定有期派遣労働者を雇用する努力を求めています。
派遣元から「直接雇用できませんか」との依頼を要件としているので、依頼がない(派遣労働者の意思表明が得られていない)場合はこの限りではありません。
派遣先にも適材を選考する権利があるので、本件は努力義務になっています。
募集情報の提供義務(表ロ)
同一の組織単位での派遣就労がまもなく継続3年間に達する見込みの特定有期雇用派遣労働者は、次の派遣就業先がみつからない限り雇用の安定が損なわれる可能性が高いので、特定有期雇用派遣労働者を受け入れておりかつ派遣元から直接雇用の依頼があった場合は、当該派遣先のあらゆる募集情報(正社員か非正規社員か不問)を周知する義務があります(前出の表のロ)。
ただし、特定の資格保有を応募要件とする等、明らかに派遣労働者に応募資格がない場合は周知しなくても違反になりません。
周知方法は、求人票を派遣先事業所内に掲示することや該当する特定有期雇用派遣労働者に直接連絡する等もありますが、派遣元を通じて周知することも可能です。
正社員中途採用の募集の際には要注意(表ハ)
前表のハでは、派遣労働者を受け入れている派遣先事業所で、正社員を募集する際は、継続1年以上受け入れている派遣労働者(年齢不問/有期無期不問)に対し、その募集内容を周知する義務があります。周知の方法は前出のロと同様です。
ただし、「新卒学生のみ対象」「総合職の募集で採用研修後の配置先が当該派遣先事業所ではない」「特定の免許や経験が必要」など、明らかに当該派遣労働者が応募の要件を満たさない場合は、周知しなくても違反にはなりません。
したがって、正社員の中途採用を行い当該遣先に配置する予定の場合は、派遣労働者にも募集内容を周知する義務が発生することがあり、うっかり周知せず行政指導の対象となる例もありますので、派遣元と情報交換しながら適切に対応することが求められます。
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