1. 法定時間外労働の上限は1か月45時間だが、1日について延長できる時間数に上限はあるのか。また法定休日の労働時間に上限はあるのか。

労務管理Q&A

2023.03.28

法定時間外労働の上限は1か月45時間だが、1日について延長できる時間数に上限はあるのか。また法定休日の労働時間に上限はあるのか。

ご質問内容

時間外・休日労働に関する協定(以下「36協定」といいます)では、労働させることができる法定外労働時間数を1日、1か月および1年間について定めなければなりません。
ところで、1か月は45時間、1年間は360時間と労働基準法で上限時間が定められていますが、1日および法定休日については定められていません。1日および法定休日の上限時間はどう考えればよいですか。

専門家からの回答

法定外労働時間数の1日の上限時間に関する法の定めはありませんので労使で協議した時間数によります。
また、法定休日には「所定労働時間」がないため、延長できる時間数ではなく「法定休日に出勤して労働させられる時間数」という考え方になりますが、その時間数にも法の定めがありませんので、労使で協議した時間数によります。

36協定に定めるべき事項

労働基準法第36条第1項では、時間外・休日労働に関する労使協定を締結し所轄官庁(労働基準監督署)に届出することによって、法定時間外に労働させ、または法定休日に労働させることができる旨を定めでいます。
これが36協定です。36協定に定めるべき事項は同条第2項に以下のように定められています。

労働基準法第36条第2項

前項の協定においては、次に掲げる事項を定めるものとする
① この条の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させることができることとされる労働者の範囲
② 対象期間(但書省略)
③ 労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる場合
④ 対象期間における1日、1か月及び1年のそれぞれの期間について労働時間を延長して労働させることができる時間又は労働させることができる休日の日数
⑤ 労働時間の延長及び休日の労働を適正なものとするために必要な事項として厚生労働省令で定める事項

したがって、36協定には必ず1日について延長して労働させられる時間を定めなければなりません。また、労働させることができる法定休日の日数も定めなければなりません。

1日についての法定外労働時間数

ところで、同条第4項は「限度時間は、1か月について45時間及び1年について360時間(注:変形期間3か月を超える1年単位変形労働の場合は1か月42時間、1年320時間)とする。」と明確に定めていますが、1日についての上限時間数および法定休日の労働時間数は定められていません。
このため、労使で次のようなことを考慮の上、具体的時間数を協議して定めることになります。
① これまで1日について最も長かった法定外労働時間数
② 今後の繁忙を考慮し予想される1日について最も長い法定外労働時間数
③ 交替制勤務を適用している場合は、交代者が急に病欠し2シフト連続で労働した場合の最も長い法定外労働時間数

法定外労働時間数
なお、「労働基準法第36条第7項に基づき、労働基準法第36条第1項で定める労働時間の延長および休日の労働について留意すべき事項等に関する指針」
(平成30年9月7日厚生労働省323号)では、1か月に満たない期間を定めて雇用される労働者については「1週間15時間、2週間27時間、4週間43時間」という
目安時間内で延長するよう努めなければならないとされています(努力義務のため強制力はありません)。

法定休日に労働させることができる時間

労働させることができる法定休日数とともに、当該法定休日に出勤して労働させることができる時間も定めなければなりませんが、労働基準法および関連指針ではその限度時間について基準がありません。
始業・終業時刻を具体的に定めることが原則ですが、突発的なトラブル対応のための出勤ということも考えられますので、次のように定めると便利です。

(例)36協定 法定休日労働の欄の記載例

労働させることができる
法定休日の日数

労働させることができる法定
休日における始業及び終業の時刻

月2回

5:00~22:00の間で8時間

 

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