労務管理Q&A
厚生労働省で労働基準法に関する研究会が開催されたとききました。 近々、労働基準法が改正されるのでしょうか。
ご質問内容
新聞報道によれば、厚生労働省で労働基準法に関する研究会が開催されたとのことです。このような研究会で取り上げられた内容は、近々、労働基準法の改正につながるのでしょうか。今年、すぐに改正されるのでしょうか。
専門家からの回答
厚生労働省では、昨年、有識者らを構成委員とする「労働基準関係法制研究会」を開催しました。2025年1月8日に研究会報告書がとりまとめられて発表されました。
厚生労働大臣は、この研究会報告書の内容を参考にして、将来、制度を改正すべきかどうかを考えますから、報告書を読むことで次の法改正内容を把握することができます。
法律改正のステップ
わが国の法律は国会で制定・改廃します。
国会に法律案として政府が提出するまで、様々なステップがありますが、ここでは労働基準法の改正について見てみましょう。
労働基準関係法制研究会報告書の概要
2025年1月8日に発表された報告書の内容は、今後の労働基準法改正につながる内容です。
みなさんにとって興味深い労働時間や休日について、どのような内容が書かれているのかを紹介します。
事業主による労働時間の情報開示
これまでも女性活躍推進法、次世代育成支援対策推進法などに基づき、事業場内の時間外・休日労働時間数の情報を開示する取り組みがあるが、求職者が就職・転職先を選択するための有力な情報となり得るので、情報開示の推進がのぞましい。
週44時間特例措置の廃止
常時使用する労働者10人未満の商業等において、経過措置として週44時間を法定労働時間とする制度は、この特例の対象となる事業場の87.2%が利用していない(既に週40時間以内である)ことから廃止を検討する時期と考えられる。
休憩の時間数
1日8時間を大幅に超えて労働する場合も現在は60分以上という規定であるが、それでよいのか。ただ、早く帰りたいから休憩は不要という声もあるから、残業に対する一律の休憩制度新設までは要しないかもしれない。
また、一斉休憩付与義務も働き方が多様な現代に、見直すべきと考えられる。
法定休日の特定
法定休日と、それ以外の所定休日が混在している週について、法定休日が特定されることがのぞましい。
勤務間インターバル制度
終業時刻から次の勤務の始業時刻までに、一定の空白時間を設ける制度(勤務間インターバル制度)は、将来的な義務化を視野に推進していくことがのぞましい。
つながらない権利の創設
勤務時間外に、上司や取引先から問合せのメール・電話がないよう、完全に仕事から解放される権利をさす(フランスで法制化されている)。わが国ではガイドライン制定などを検討すべきである。
年次有給休暇制度の5日付与義務
現在は、育児休業や病気休職など長期休業・休職から復職した後、基準日までのわずかな期間であっても一律5日の休暇付与義務があるが、短期間に強制的に5日付与は合理性を欠くと考えられ、見直しの余地がある。
Wワーク時の割増賃金は不要に
雇用労働者が、異なる2以上の事業主に雇用されて労働しても、労働時間は通算するルールがある。
健康管理のため労働時間の通算把握は今後も維持するが、兼業先が割増賃金を支払うことについては分けて考え、支払は要しない制度へ改正することが考えられる。
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