1. 時間外労働や休日労働・深夜業などの割増賃金の算定時に、基礎に算入が必要な賃金と、不算入で良い賃金について

労務管理Q&A

2019.02.28

時間外労働や休日労働・深夜業などの割増賃金の算定時に、基礎に算入が必要な賃金と、不算入で良い賃金について

ご質問内容

労働基準法における割増賃金の基礎に算入しなくてもよい賃金についての質問です。

「1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金」は割増の基礎に算入しない賃金と聞きました。当社では皆勤手当を2ヶ月に1回支給しています。

計算方法として、毎月出勤率が95%以上であることを支給条件としており、例えば1月度は95%以上達成して、2月度は95%以上達成できなかった場合は、1月度分のみの皆勤手当を3月度に給与として振り込んでいます。 この方法で問題ないでしょうか?

また「臨時に支払われた賃金」も算入しない賃金と聞いていますが、入社して1年間で条件を達成できた労働者には、4ヶ月に1度5万円定額を支給する手当を支給していますが、こちらも割増に算入しない賃金という認識で宜しいでしょうか?

専門家からの回答

時間外労働や休日労働、深夜業の場合には割増賃金を支払わなければなりません(労働基準法第37条第3項)が、この割増賃金の算定に当たって、

①家族手当、②通勤手当、③別居手当、④子女教育手当、⑤住宅手当、⑥臨時に支払われた賃金、⑦1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金

は、割増賃金の基礎となる賃金から除外することができます(同法施行規則21条)

これらの除外賃金は、制限列挙です(キャスコ事件 大阪地裁平成12年4月28日)。

その趣旨は、扶養家族の有無や数、通勤にかかる費用など労働の内容や量と無関係な労働者の個人的事情によって額が決まる手当を除外することにあります。

これに該当するか否かの判断にあたっては、その名目にとらわれず、その実質に着目すべきで、名目が除外賃金と同一であっても労働者の一身的諸事情の存否や労働時間の多寡にもかかわらず一律に支給されているものについては除外賃金には該当しません。

例えば、家族手当および通勤手当が各自の個別的事情にかかわらず、無条件で一律に一定額を支払われている場合(壷阪観光事件 奈良地裁昭和56年6月26日)や、深夜労働手当分が含まれているが通常の業務としてする乗務の回転数、配送件数、長距離運転などに応じて加算されるポイント制で支給される分も含まれている加算手当の場合(エスエイロジテム事件 東京地裁平成12年11月24日)には、割増賃金の基礎となる賃金から除外することができる賃金には該当しません。

一方、名称が生活手当などでも、扶養家族の有無・数により算定される場合は、割増賃金の基礎となる賃金から除外することができる賃金に該当します。

また、年俸制でも毎月払いと賞与の部分を合計して年俸額が確定している場合には、賞与の部分は、除外賃金の臨時に支払われた賃金には該当しませんので、割増賃金の基礎に算入しなければなりません(システムワークス事件 大阪地裁平成14年10月25日)。

「1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金」としては,労働基準法施行規則8条の規定からすると、賞与のほか、次のようなものを指すと考えられます。

a.1ヶ月を超える期間の出勤成績によって支給される精勤手当
b.1ヶ月を超える一定期間の継続勤務に対して支給される勤続手当
c.1ヶ月を超える期間にわたる事由によって算定される奨励加給又は能率手当

このため、1ヶ月ごとに手当を算定し、その算定金額を2ヶ月に1度まとめて支給するような場合は、たとえ1ヶ月間を超える期間ごとに支払われていたとしても、割増賃金の基礎となる賃金から除外することはできません。

ご指摘の「皆勤手当」については、1ヶ月ごとに算定し、その算定金額を2ヶ月に1度まとめて支給するものと考えられますので、「1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金」には該当しないものと考えられます。

また、「臨時に支払われた賃金」としては、次のような場合に支払われる賃金をいい、名称の如何に関わらず、これらに該当しないものは、「臨時に支払われた賃金」とはみなされません(昭和22年9月13日発基第17号)。

a.臨時的、突発的な事由に基づき支払われる賃金
b.支給される条件は定められていたとしても、その条件の発生確率が不確定かつ稀である事由に基づき支払われる賃金

例えば、…

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