Q&A簡単解説!フジアルテの労務講座

派遣先は、派遣労働者の能力が向上したら派遣料金を値上げすべきか?

ご質問内容

配信日 2021/09/05

派遣元事業主から「派遣労働者のスキルがアップした」ことを理由に派遣料金の値上げを要請されています。

派遣労働者の勤務態度やスキルは派遣就業の場所で把握していることなので、派遣先のやり方で派遣労働者の能力を評価し、それをもとに派遣料金を提案したいのですが、問題ありますか?

専門家からの回答

ここでは①派遣料金と、②派遣労働者の賃金、の2つに区別して考える必要があります。

まず、①派遣料金は派遣先と派遣元事業主が原則として自由に協議して決められますが、労働者派遣法第 26 条第 11 項に定める内容に留意する必要があります。

また②派遣労働者の賃金は派遣元事業主が決定すべき労働条件ですが、そのために必要な派遣労働者の評価について、派遣先は情報提供等に協力することが求められています。

■ 派遣料金は契約当事者で自由に決めてよい

労働者派遣の料金の額は、契約の当事者(派遣先と派遣元事業主)が協議して自由に決定することができるので、御社の考える料金プランを提案することができます。

ただし、労働者派遣法で唯一、派遣料金について定めた条文があるので、その点は確認しておく必要があります。

労働者派遣法第26条第11項 (※)は説明のため田原が付記

労働者派遣の役務の提供を受けようとする者及び派遣先は、当該労働者派遣に関する料金の額について、派遣元事業主が、第 30 条の 4 第1項の協定に係る労働者派遣以外の労働者派遣(※1)にあっては第 30 条の 3 の規定、同項の協定に係る労働者派遣(※2)にあっては同項第 2 号から第 5 号までに掲げる事項に関する協定の定めを遵守することができるものとなるように配慮しなければならない。

まず、上記条文の(※1)の「協定に係る労働者派遣以外の労働者派遣」とは、派遣労働者の待遇を「派遣先均等・均衡方式」によって決定する場合をさします。

前出条文の(※2)の「協定に係る労働者派遣」とは、派遣労働者の待遇を「派遣元労使協定方式」によって決定する場合をさします。

いずれの場合も「派遣元事業主が派遣労働者の公正な待遇を確保するため(中略)の原資を確保することが必要となるため、(中略)派遣先に対し派遣料金に関する配慮義務を課すこととしたもの」です(「労働者派遣事業関係業務取扱要領」より)。

ここで「配慮義務」とは「こころ配りをするだけでよい」という意味ではなく、条文の趣旨を実現する料金額を支払う義務が発生するのですが、「その実現方法は当事者にまかせます」という意味です。

例えば、派遣労働者の通勤手当に該当する派遣料金を支払わないかわりに、派遣先の送迎バスを派遣労働者が利用できるよう便宜をはかることで、料金について「配慮」をした(現金ではなく現物供与という方法で義務を果たした)ことになります。

派遣先にも財政事情がありますので、値上げに応じられないこともあります。派遣料金の値上げをお断りしたら都道府県労働局から行政指導されることがあるのでしょうか。

労働者派遣事業関係業務取扱要領では、
「派遣元事業主から要請があるにもかかわらず、派遣先が派遣料金の交渉に一切応じない場合や、派遣元事業主が(中略/公正な)賃金を確保するために必要な額を派遣先に提示した上で派遣料金の交渉を行ったにもかかわらず、派遣料金が当該額を下回る場合には、配慮義務を尽くしたとは解されず、指導の対象となり得る」
と明記されていますので、まずは誠実な交渉の場を設けて下さいね。

■ 派遣労働者の賃金は派遣元事業主が決め、派遣先はそれに協力する

一方、派遣労働者の賃金は、…

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