1. 早朝残業など時間外労働手当の義務と、36協定の締結や就業規則の作成についての考え方

労務管理Q&A

2021.01.22

早朝残業など時間外労働手当の義務と、36協定の締結や就業規則の作成についての考え方

ご質問内容

当社の就業時間は、8:30~17:30です。うち1時間が昼休憩となる、8時間労働です。

今回、業務上早朝5時より勤務する必要が生じました。ただし、17:30の定時以降の業務は発生しない見込みです。

当社の就業規則には、「早朝残業手当」は記載されていませんが、5時から8時半の3時間に対して、残業手当を支給することは可能でしょうか?

専門家からの回答

労働基準法第37条第1項は、「災害などによる臨時の必要がある場合における時間外労働させた場合(同法第33条)または時間外休日労働協定(いわゆる36協定)により労働時間を延長して労働させた場合(同法第36条第1項)には、政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない」旨、規定しています。

1週間のそれぞれの日については、休憩時間を除き1日について8時間を超えて労働させてはならない(同法第32条第2項)のが原則ですので、(変形労働時間制を採用しているなどの特別な事情がなければ)1日について8時間を超えて労働させた場合には、残業手当を支給することが「可能」ということではなく、貴社には割増の時間外労働手当を支給する「義務」があります。

また、その前提として、その業務が「災害などによる臨時の必要がある場合」に該当しない限り、貴社においては事業場単位で過半数代表者(過半数労働組合がある場合にはその労働組合)との間で36協定を締結して、労働基準監督署に届け出ておく必要があることにもご注意ください。

なお、ご質問のケースでは午前5時から8時半までの時間外労働ということですので該当しませんが、もし午前5時より前に時間外労働を始める場合(具体的には午後10時から午前5時までの間)には、深夜の割増手当も支給する義務があることにも、ご留意ください。

また、就業規則に「早朝残業手当」が記載されていないことを気にしていらっしゃるようですが、賃金の決定などに関する事項については、過半数代表者の意見を聴いて就業規則を作成し、労働基準監督署に届け出なければなりません(同法第89条)ので、就業規則についても見直しをされた方が良いと考えます。

監修:木村 大樹 氏(国際産業労働調査研究センター代表)

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